シンプル経営貫く小集団、日本高純度化学の真骨頂

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 立役者である渡辺会長は「当時の従業員は20人くらいだったが、すでに金メッキ用薬品で利益を上げていた。銀行も事業を高く評価してくれて、MBOのために22・5億円を無担保・無保証で融資したうえに、14・5億円出資した」と回想する。

その後、銀行が投融資を回収する「出口戦略」のため、02年にジャスダック市場に上場、05年には東証1部に上場。MBO企業初だ。「銀行は80億円のキャピタルゲインを得た」と渡辺会長。ウィン・ウィンの成功例といわれるゆえんである。

99年、技術本部長として入社したのが、三菱化学出身の清水茂樹社長だ。化学産業には大規模なプラントで勝負するマスケミカルと、性能や付加価値を競うファインケミカルに分類される。ファインケミカルの代表分野は医薬品、農薬、電子材料。この中で、メッキ用薬品は電子材料の範疇に属する。清水社長は「われわれは既存試薬を調合する調剤薬局のようなもの」と語る。

経済産業省から試薬(原料)として認定された物質は2万5000種類。この試薬を調合して、納入先の要求に合ったメッキ用薬品を開発・販売する。ここにノウハウがある。

薬品の調合レシピはまねされないように納入先にも教えないし、成分を解析されないために、不必要な試薬をあえて混ぜている。試薬は秘密保持契約を締結して外部から購入し、生
産も同様にして外部に委託。生産に携わる従業員は5人だ。

受注と粗利益率を管理 大半の人員は研究開発

組織がスリムなだけではない。経営管理も極めてシンプルだ。渡辺会長は、「受注と粗利益率の動きだけを見て、経営をコントロールしている」と語る。受注動向で先行きを把握しながら、「当社の損益分岐点比率は30%。粗利益率と販売管理費をコントロールすれば、絶対に赤字にならない」という。

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