英「ジョンソン首相」身内の裏切り招いた問題思考 相次ぐスキャンダルに閣僚等約60人が辞任宣言
ふつふつと沸き上がった党首への不満は、ピンチャー事件で一気に爆発した。
性的問題行動はイギリス議会ではご法度中のご法度だ。国会議員は公人であり、国民に模範を示す立場だ。それなのに、ピンチャー氏の問題行為を深刻視せず、要職を与えた上に、過去のことを聞かれると「忘れた」とは言語道断だった。「忘れた」ということは、それほど重要視していなかったことの証拠でもあるからだ。
懐刀だった側近もさじを投げた
首相の言い訳をもっともらしく聞こえるように、メディアに出演して説明する閣僚らの疲労もたまってきた。
ジョンソン首相辞任劇の火ぶたを切ったのは、5日に相次いで出されたスナク前財務相とジャビド前保健相の辞任だった。ジャビド前保険相はジョンソン首相によって財務相に任命されたが、実務上の意見の違いで辞任。首相は40歳になる直前のスナク氏を財務相に抜擢した。これほど若い政治家がこの職に任命されるのはめずらしい。
任命の経緯から言っても、スナク前財務相にとってジョンソン首相は「恩人」であり、足を向けては眠れない人物だ。このため、ジョンソン首相に寄り添いながら、財務相として仕事をしてきたが、官邸で催されたパーティーにはスナク前財務相も呼ばれ、飲食を共にしたことで、自分も罰金を支払うことになってしまった。若き清廉潔白な政治家として、キャリアを積んできたスナク前財務相にとって、内心は「煮え湯を飲まされた」感があったに違いない。
スナク+ジャビドコンビの辞任表明は、保守党内で「実は私も」とこれにならう議員を次々と出していった。ジョンソン首相が官邸前で辞任声明を出した頃までには、59人もの保守党議員やその補助役が辞任願いを提出していた。
最後のとどめは、親ジョンソンの閣僚やスナク前財務相の後に財務相に指名されたばかりのナディム・ザハウィ元教育相からも辞任を迫られたことだった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら