英「ジョンソン首相」身内の裏切り招いた問題思考 相次ぐスキャンダルに閣僚等約60人が辞任宣言

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相次ぐ閣僚の辞任を受け、7月7日、自らも辞任を表明したイギリスのジョンソン首相(写真:Bloomberg)

「もうついていけない」
 「公人としての基準が地に落ちている」
 「国民は政府が適切に、有能に、まじめに政権を運営することを期待している」

7月5日を皮切りに、イギリスのジョンソン首相に次々と送られてきた辞任表明の書簡には、こんな表現が入っていた。首相の片腕的存在のスナク前財務相、その前に財務相だったジャビド前保健相が相次いで辞任表明をすると、7日朝までに雪崩のように閣僚、政権秘書など60人近くが辞任願いを出した。まるで「沈みゆく船から逃げ出すネズミ」(最大野党労働党のスターマー党首)状態である。

それでも、2019年の総選挙で保守党を大勝させたのは自分だと自負するジョンソン首相は「国民から負託を受けた職を投げ出すわけにはいかない」と言い続けた。

大量辞任はなぜ起きたのか

しかし、首相が「あいつだけは絶対に逃げない」と最後の望みの綱としていた、ルイス北アイルランド相の辞任が7日朝までに公になると、万事休すとなった。この日昼、首相は官邸前から与党保守党の党首辞任の意向を表明した。次の党首が決まり次第、首相が交代する。

元ジャーナリストのジョンソン首相は、イギリスの欧州連合(EU)からの離脱実現に大きな役割を果たした人物だ。2016年の残留か離脱を問う国民投票では離脱運動の先頭に立ち、翌年発足したメイ政権では外相に就任。
2019年、EUとの離脱交渉が不調で退陣を迫られたメイ政権の後を引き継いで首相になった後、同年12月の総選挙で保守党の議席数を大幅に増やした。「離脱を実現するぞ」が合言葉だった。

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