そごう・西武売却、「優先交渉権付与」でも残る不安 フォートレスが金額で頭ひとつ抜け出したか
再建策としてフォートレスは、ノウハウを持つ流通企業と連携するとの提案をしているもよう。家電量販大手のヨドバシホールディングスと協議を進めており、西武池袋本店への入居も検討されている。
次いで金額が高かったのはローンスター。そごう・西武は現在国内で10店舗を展開しているが、同社の提案は採算が確保できそうな首都圏の数店舗を残し、一定程度の雇用を守りながら再建を果たすという内容だ。
「規模が小さく、赤字垂れ流しの地方店の再建は誰がやっても無理で、ある程度のリストラはやむを得ない。そごう・西武の将来を考えればもっとも現実的な提案」。別の投資ファンドの幹部は、ローンスターの提案をそう評する。「フロアごとに収益を算出するなど、提案の緻密さでは群を抜いていた」(同)。
GICはリストラせず全店維持を提案
一方でもっとも安い金額ながら、そごう・西武にとってみれば「願ったり叶ったり」(そごう・西武幹部)だったのがシンガポールのGICの提案だ。地方店も含めすべての店舗を残し、雇用もすべて守るという内容だったからだ。
早期の出口戦略を描かなくていい政府系ファンドならではの提案であり、大規模なリストラを不安視していたそごう・西武にとってみれば、ありがたい提案だった。
金額ではフォートレスだが、そごう・西武にとっての受け入れやすさではGIC──。そんな各社の提案内容だっただけに、これまでの過程ではさまざまな思惑が入り乱れ、紆余曲折があったという。
だが、ふたを開けてみればフォートレスが頭ひとつ抜け出た形で、「(経営陣は)金額の高さで判断したのだろう」(セブン&アイ幹部)との見方がもっぱらだ。というのも、今回の入札を取り仕切っているのが、創業家出身でセブン&アイの取締役常務執行役員を務める伊藤順朗氏と、伊藤氏が管轄している経営推進本部だからだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら