一方、消費税率引き上げの後遺症に原油価格下落が加わって、黒田日銀総裁が「2年で、2%」と高らかに宣言した物価上昇率目標は、達成が難しくなっている。
物価上昇率目標未達=マーケットには好材料
一部には、物価目標未達をもってアベノミクスの失敗だと論じる向きもあるが、相場的には、金融引き締めへの転換が後ズレするということであり、追加緩和が浮上する可能性もあって、好材料だといえる。
1月30日の経済財政諮問会議に黒田総裁が提出した資料には「消費者物価の前年比は、エネルギー価格の下落を反映して当面プラス幅を縮小するとみられる。
その後は、原油価格が現状程度の水準から先行き緩やかに上昇していくとの前提にたてば、原油価格下落の影響が剥落するに伴って伸び率を高め、2015 年度を中心とする期間に2%程度に達する可能性が高い」との説明がある。
2015年度の手前でそれが起こるはずがないから、「2015年度を中心とする期間」というのはいかにも奇妙な言い回しだが、これは2015年度末(2016年3月)よりも後に達成期限を先送りするための苦肉の表現なのだろう。つまり、2015年度内に日銀の金融緩和が「出口」を迎える可能性はごく乏しいということだ。
もともとアベノミクス相場が終わりを迎える形の1つとして、物価上昇率目標が予想以上に順調に達成されてしまった場合に、金融緩和が終了して、実質金利が上昇に転じる可能性があった。
この可能性については、今後、例えば、原油価格の急上昇のような事態があった場合に、再び気をつける必要があることになるが、当面その心配はしなくていい。
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