さて先日、長期国債の入札不調を背景に、0.2%台だった長期金利(10年国債利回り)が急上昇する事態があった。
2つのコクサイに将来注意
長期金利は、2月5日で0.35%に収まっているが、さすがにこの水準では一般投資家の買いが入りにくく、日銀による市場の「制圧」が外れた場合の長期金利上昇は、かなり急激なものになりそうなことがわかった。
これは、将来不気味な要因だが、こちらについても、当面の問題ではない。
また、年初に本連載の拙稿「アベノミクス相場、どこまで賭けつづけるべき?」で、官僚のサポートが外れて安倍内閣が弱体化する可能性を、今年のリスク要因として指摘したが、こちらもまだ、顕在化していない。
ただし、先般のイスラム国に拘束された後藤健二さんの問題に対する内閣の対応を見ると、人質が拘束されている状態なのに安倍首相がイスラム国を刺激するような過剰な言動があったし、官僚から「後藤さんを救出することが十分可能だ」というニュアンスの情報が上げられていたのではないかという疑念を持った。普天間基地問題を巡る鳩山元首相の時ほど露骨ではないが、安倍首相が十分にサポートされていない可能性を感じた。
とはいえ、「国債」の方も、「国際」の方も、本格的に心配しなければならないのは、もう少し先のことだろう。
ところで、注目のGPIF(年金積立金管理運用特別行政法人)は、先般、理事長で年収約3100万円(約64%の昇給だ!)、CIO(投資責任者)で約3000万円等とする、気前のよい給与体系を発表した。
運用の人材確保が目的で、金融業界側から見て報酬水準自体に違和感はないが、運用現場の報酬は運用成果に連動したものになるはずだ。だとすると、運用現場では、実際のポートフォリオと基本ポートフォリオを早く近づけたいというインセンティブが働くはずだ。
彼らが、何を基準として、どうようなパフォーマンス評価をするのかは、詳しく公開されるべきだし、マーケット関係者としても注目に値する材料だ。
総合的に見て、PER(株価収益率)が16倍台で、上方修正含みの現在の株式市場は、「降りる」にはまだ早い。相場格言的には「もうは、まだなり」の局面だろう。
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