酷暑の夏にあえて「京都旅行」を勧める意外な理由 「暑くない地域」に行くこともひとつの手だが…

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長野県や山梨県などの避暑地を選択肢としている人もいるだろうが、これらも涼しいのは軽井沢や菅平、清里など標高が高いところだけだ。例えば、長野市は30.9度。甲府市にいたっては32.4度と東京よりも暑い。盆地はフェーン現象の影響から、特に過酷な状況を生みやすいといえる。

山は涼しく海は暑いというイメージも見直しが必要だ。例えば、千葉県で最も低いのは銚子市の29.3度。これは秋田市と大差ない。沖縄県で最高気温が最も低いのは慶良間諸島の渡嘉敷島で、最高気温は28.6度。これも仙台市とほぼ同等である。(※2021年8月の平均最高気温)

旅行とは、つきつめていえば、時空間行動である。われわれは猛暑をコントロールできないが、猛暑を避けられる目的地に行くことと同様に、時間の使い方によっても猛暑をある程度避ける旅行が可能だ。

具体的には気温が最も高い10~17時ごろの外出行動を控えることになる。だが、この時間は多くの施設が開いている観光旅行のコアタイムともいえる。そこで提案したいのが、朝や夕方以降でも楽しめる行き先を選ぶ旅行である。

京都がおすすめ!?

例えば、筆者は夏場の猛暑で知られる「京都」をあえておすすめの場所としたい。これは、京都が朝や夕方以降の時間を有効に使える旅先だからだ。ちなみに京都の2021年8月の平均最高気温は32.3度だった。

たしかに神社仏閣の参拝をメインにするならば、10~17時に外出せざるをえない。だが、猛暑下では、こうした参拝は思い切って行程にいれないか、あるいは朝9時すぎに1カ所のみ入れるという形にしてみると身体的なダメージは少なくてすむ。その代わりに午前5時から開門している東寺や、24時間観光可能な伏見稲荷大社や八坂神社を朝から訪れてみるのはどうだろうか。

暑さを避けるだけでなく、人混みを回避できるというメリットもある。そして10時から17時にかけては、冷房の完備された美術館や博物館などをメインにするほか、ランチやカフェなどでゆっくり時間を過ごし体力を温存する。

連泊するならば、市街地の中心部に宿をとり、そこで仮眠をとったり、シャワーを浴びたりすることも可能だ。夕方以降は暑さも落ち着いてくるので再び街に繰り出す。祇園などはむしろ夜間のほうが美しく観光に向いているともいえるし、最近は、「ザ・ホテル青龍 京都清水」最上階のルーフトップバー「K36」が話題になるなど、夜の観光の選択肢はさらに拡がっているといえる。

K36 Rooftop(写真:ザ・ホテル青龍 京都清水)
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