90年代は「皆が同じものを見た」最後の時代だった 文化的分断でマイケル・ジャクソン再来はない
1990年代はいつ終わったのでしょうか? それを考えるとき、多くの人は2001年9月11日と答えるでしょう。私も数年前まではそうでした。
確かに、9・11同時多発テロは、アメリカにとって最大と言っていいほどの災厄の日です。ジョージ・W・ブッシュが「サバティカルの年月」と表現した90年代の日々は終わり、テロとの戦いが幕を開けました。それはすべてを変え、アメリカは、そして世界は新しい時代に入りました。9・11が、政治や国際関係だけでなく、経済や文化にも大きな影響を与えたことは間違いありません。
9・11が90年代の幕を引いたのか?
しかし、2020年代の今日から見ると、9・11が唯一無二の出来事であり、それによって90年代の幕は閉じられたのだという考え方には、ある種の疑問符がつきます。
私たちはその後、2008年のリーマン・ショックによる世界同時不況を経験しました。インターネットの浸透とスマートフォンやソーシャルメディアの導入によって、私たちの生活は一変しました。2019年から今も続く新型コロナウイルスのパンデミックもまた、現在進行形で世界中の人々の人生に影響を及ぼしています。バラク・オバマが大統領に選ばれたことは画期的でしたが、ドナルド・トランプの当選もまた大きなターニングポイントとなっています。
これらの出来事は、いつ始まり、いつ終わったのかを明確に定めることができないように感じています。
私の学生時代の恩師の1人は、17〜18世紀を専門とする歴史家でした。彼は1800年以降の出来事はすべて「時事問題」だと言っていました。「1789年のフランス革命ですら、まだ確定的に語ることはできない。現在に至るまでフランス社会はあの革命の影響を引きずっているようなものだから」と。
ですから、今の私が正直に答えるなら、1990年代がいつ終わったのか私にはわからないという回答になるでしょう。ある意味で、90年代はまだ続いているのかもしれないですから。
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