日本並み悪環境なのにイスラエル起業世界一の訳 条件が違いすぎるアメリカより学べることは多い
日本の開業率と廃業率はともに低く、企業の新陳代謝が活発でない(『科学技術指標2021』)。もちろん、これは日本に優良な老舗大企業が多く存在することの裏返しでもあり、このことだけをもって嘆くのは間違いだ。
ただし、老舗大企業もまた過去に日本の誰かが起業したものである。そのため、次なる老舗大企業が次々と生まれてこなければ、日本全体が長期的に貧しくなる一方だ。しかも、今後の日本経済を支えるユニコーン企業(時価総額10億ドル以上を見込める未上場企業)の数は先進国の中で圧倒的に低い状態にあり危機は目の前にある。
●図1 先進国のユニコーン企業数比較
(外部配信先では図や画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)
図1のデータと最新の国連の人口データを組み合わせて「人口1000万人当たりのユニコーン企業数」を作成すると、より深刻な事態が浮かび上がる(図2)。この数字では、日本は先進国どころか中国やブラジルにも大きく負けているのだ。
●図2 人口1000万人当たりユニコーン企業数
国際的に見ても低い日本人の起業家精神
問題の背景には、国際的に見て低い日本人の起業家精神がある。
世界47カ国を対象とした起業家精神調査Global Entrepreneurship Monitor(GEM)2021/2022年版によれば、起業家精神に関する6つの項目のうち、日本は「周囲に起業家の知人がいる」「自分には起業の機会があると思う」「自分には起業の能力や技能があると思う」の3項目で断トツの最下位、「起業志向」の項目では46位だ。
ただし、日本において起業を目指す人が少ないことは、裏を返せば「大企業や公共団体など安定的な就労先が無数にある」ことも指していることに注意が必要である。実際に、GEMにおいて高得点なのはドミニカ共和国、スーダン、チリ、グアテマラなど「起業する以外にまともな就職先がほとんどない」国々だ。
とはいえ、比較的豊かな国のみを対象とした場合にも、日本はほとんどの起業家精神指標で断トツの最下位となる。また、現状が良くても、前述したように、このままでは日本は早晩貧しくなる。
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