日本並み悪環境なのにイスラエル起業世界一の訳 条件が違いすぎるアメリカより学べることは多い
イスラエルでは、大学での起業教育や政府主導の起業プログラムが整わなくても、「経営」が身近にある。では、こうした家庭教育を日本においておこなうにはどうすればいいだろうか。
イスラエルの事例から得られるヒントは「人は誰しも自分の人生の経営者だ」という意識を持てば、日常生活がすべて経営教育の素材に変わるということだ。まずは、大人がそうした考えで経営を日々実践することがカギとなるだろう。そうすれば、人生のさまざまな場面を「経営」の問題として捉え直す機会を大人が子どもに与えることもできるようになる。
企業経営や起業という選択肢もまた、日常での日々の経営実践と家庭教育の延長線上に浮かびあがるはずだ(なお、筆者の新著『13歳からの経営の教科書』はこの考えが出発点にある)。
「経営」は起業だけでなく人生そのものに役立つ
最後に、1つの個人的な事実を提示する。
筆者もまた、短いながら、自分の人生を経営している。筆者は中学校卒業後、家庭の事情から高校進学を断念し、中卒自衛官となった。
自衛隊、コンビニ、工事現場などで働いた日々から10年ちょっとで慶應義塾大学商学部准教授となった。実は「30歳で慶應の教授になる」は中卒で働いていて東急東横線に乗っていたときに思いついた目標だった。
計画の2年遅れであるものの、これを実現したのは、自分の能力ではなく、私の人生経営のビジョンに共鳴してくださった多くの方のご助力によるものだ。もちろん職はただの手段であり、いまだ筆者は志半ばだ。だが、この事実は「経営」が起業だけでなく人生そのものに役立つことを示していないだろうか。
経営の心と技は、NPOなどを立ち上げる社会起業、会社や組織を革新する社内起業、研究や芸術分野の文化起業など、人生のすべての場面で活用できる。この経営の心と技が浸透することで、日本に住む人すべてが豊かに暮らせる未来につながると筆者は信じる。
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