ひろゆきが竹中平蔵に聞く経済学者としての実績 「元来の専門は設備投資」、アメリカで受けた衝撃

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ひろゆき:設備投資がこのくらいの額で、マーケットがこういうサイズで、こういう投資をしたらリターンはこれくらいだよねっていうモデルがつくれるという話だと思うのですが。実際の会社って、本当にモデル通りの数字になることが多いんですか?

竹中:いや、ちょっと理解が違います。会社っていうのは1つの主体であって、会計学に基づくミクロの世界です。私が分析したのは、一国の設備投資全体がどうなるかっていうマクロの分析なんです。ミクロとマクロには共通する面もありますけれど、ミクロだと設備投資をする会社もあればしない会社もあるわけですよ。しかし、全体の平均としてやるかやらないかが見えてくる、というのがマクロ分析なので。

ひろゆき:そうすると、設備投資ってひたすらやり続けたほうが長期的に伸びるよね、みたいな当然の結果が出るだけだと思うんですけど。

竹中:ところが、金利が高ければ設備投資できないですよね?

ひろゆき:あー。

「竹中が嫌いだ」みたいな感情的批判とは全然違う反論

竹中:で、税金が高いと、設備投資をやるインセンティブが少なくなりますよね。だから、どういう要因がどんなふうに設備投資に影響を与えるのかを考えるわけです。

日本は1960年代に高度成長しました。なぜ高度成長できるのかということを説いたのは、下村治さんという人なんです。この人は池田(勇人)総理のブレーンで、1955年に下村理論と呼ばれるものを提唱し、設備投資できる活力が日本経済にはこれだけあると説きました。設備投資をすると新しい工場ができるわけだから、翌年にはそれが生産力になると。生産すると、それによって価値が増えて、またその分、設備投資が増えるだろう――つまり投資が投資を呼んで高度成長できるという理論を下村さんは打ち立てたわけです。しかし当時、彼の理論に対して、メインストリームの経済学者はことごとくそんなことは起きないと言ったわけです。

ひろゆき:どんな理由で反対したんですか? だって設備投資したら生産量が増えるのは当たり前じゃないですか。

竹中:1つは、そんな設備投資をする活力は日本企業にない、そんな競争力は日本にないから間違っている、というもの。もう1つは、設備投資をしてもそれが生産力に直接結び付く比率(算出係数)が下村さんの理論よりもかなり低いのではないか、という反論です。ロジックに基づく、とても真っ当な論争でした。今みたいな「竹中が嫌いだ」みたいな感情的な批判とは全然違います。

結局、結果としては下村さんの言うことが極めて正しかった。いや、下村さんが言った以上に経済成長したんです。下村さんは10年でGDPが2倍になると言いました。10年で2倍ということは7%成長です。でも実際は、10%成長したんです。つまり7年で2倍になったということです。

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