ひろゆきが竹中平蔵に聞く経済学者としての実績 「元来の専門は設備投資」、アメリカで受けた衝撃

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竹中:アメリカに行く前まで、私は組織人だったわけです。でもそれ以降、やっぱり大学にいたい、研究者でいたいと強く思った。帰国後また何年かしたら、今度はハーバードのほうから「日本経済論を教えてくれ」という申し出がありました。それで再びアメリカに渡ったわけですが、2度の渡米を通していろいろなことを勉強できた気がします。

ひろゆき:そうでしたか。

竹中:最初にアメリカに行った30歳くらいのとき、「これはスーパースターになる」っていう研究者がハーバード、MIT(マサチューセッツ工科大学)に3人いたんです。それがジェフリー・サックス、ローレンス・サマーズ、ポール・クルーグマン。みな博士号を取ったばかりくらいだけれど、いろいろな論文を書いていたから、名前は知っていた。そういう人と直に接して、話ができたのがすごく刺激的でした。

アメリカで終身雇用が保証された教授の存在

ひろゆき:博士号取ったばっかりって、「ポスドク」みたいなポジションじゃないですか。それで外国の人にも名が知れてるって、かなりレアですよね。

竹中:そうです。だからスーパースターで、天才なんですよ。アメリカには「テニュア」って言葉があります。要するに、終身雇用が保証された教授ですよ。アメリカって本当に競争社会なので、先生が「この若者はひょっとすると自分を追い越すかもしれない」って思うと、ちゃんと教えないんだってね。

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ひろゆき:さすがアメリカらしい。

竹中:それほどの競争社会。だから「あなたは終身教授だから安心して若者に指導していいですよ」というので「テニュア」という制度をつくったそうです。日本は就職したら、終身雇用は当たり前じゃないですか。このメカニズムの差はすごいと思った。

さっき名前を出した3人は天才的で、若くしていきなりテニュアを取ります。実際その後、大活躍しました。クルーグマンは2008年にノーベル経済学賞を取ったし、ジェフリー・サックスは『貧困の終焉』で国連に強い影響を与え、ミレニアム開発目標に結実した。そしてサマーズは、財務長官になりました。彼らには学問的業績があるだけでなく、社会のリアルイシューをすごくロジカルに考えて、それをわかりやすく説明している。そういう人材はすごいと思いました。

ひろゆき 「4chan」管理人

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Hiroyuki

本名・西村博之。1976年神奈川県生まれ。中央大卒。1999年にインターネット匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。東京プラス代表取締役、未来検索ブラジル取締役など、多くの企業に携わり、企画立案やサービス運営、プログラマーとして活躍。2005年、ニワンゴ取締役管理人に就任。翌年、「ニコニコ動画」を開始。2009年に2ちゃんねるを譲渡後、2015年に英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。

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竹中 平蔵 慶應義塾大学名誉教授

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たけなか へいぞう / Heizo Takenaka

1951年、和歌山県和歌山市生まれ。一橋大学経済学部卒業後、73年日本開発銀行入行。81年に退職後、大蔵省財政金融研究室主任研究官、ハーバード大学客員准教授、慶應義塾大学総合政策学部教授などを経て、2001年より小泉内閣で経済財政政策担当大臣、郵政民営化担当大臣などを歴任。

現在、東洋大学グローバル・イノベーション学研究センター長・教授、慶應義塾大学名誉教授、世界経済フォーラム(ダボス会議)理事などを務める。博士(経済学)。著書に『平成の教訓 改革と愚策の30年』(PHP新書)、『この制御不能な時代を生き抜く経済学』(講談社+α新書)など多数。

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