ウクライナの「復興計画」がいま求められる理由 充実した復興計画がプーチンの野望をくじく

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戦闘が続くウクライナだが、キーウ(キエフ)北部などロシア軍が撤退した地域では、住宅など日常生活の再建が始まっている。とはいえ、この戦争でウクライナには1日当たり何億ドルという被害が出続けており、欧州連合(EU)の試算によると、物的なインフラだけでも再建コストは少なくとも1000億ユーロ(14兆円以上)に上る可能性がある。再建はウクライナ一国で成し遂げられるものではない。

自由が戻った暁には、経済を一気に再始動し、国民に雇用をもたらすマーシャルプラン(第2次世界大戦後の欧州復興支援計画)のような戦後刺激策が必要だ。しかしウクライナの復興は、ロシアに破壊されたものを再建することにとどまらない。この復興を通じ、ウクライナは国として進化を遂げることになるからだ。

欧州国家ウクライナの誕生

私たちが戦争に勝利すれば、自由で現代的な欧州国家ウクライナが誕生するという壮大なビジョンがもたらされ、歴史的な惨禍を希望に変える好機が訪れる。ウクライナがEUと北大西洋条約機構(NATO)の信頼できるメンバーとなれることは、国民の戦いぶりによって証明された。その国家再建は、欧州のプロジェクトと足並みをそろえたものになるだろう。

ウクライナの再建は環境の持続可能性とも固く結び付いており、石油・ガスのロシア依存に終止符を打つものとなる。ウクライナはすでに欧州電力網との連結に着手。復興が本格化すれば、電力網を欧州と完全統合し、再生可能エネルギーの活用を加速する意向であり、EUが掲げる「欧州グリーンディール」の精神を体現するクリーンエネルギー大国となるに違いない。

EUが復興策を検討しているのは心強い動きだ。ウクライナにマーシャルプランのような復興計画を約束すれば、ロシアのプーチン大統領に対し「侵略は報われない」という強力なメッセージとなるだろう。ウクライナの自由と再建を支えることは世界の平和と繁栄につながる。ロシアの帝国主義的野望を阻止し国を再建するという難題を、ウクライナ国民だけに背負わせてはならない。

ポール・グロッド ウクライナ世界会議(UWC)議長

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Paul Grod

1967年設立の非政府組織UWCで2018年より現職。企業法務弁護士で、エネルギーコンサルティング会社の創業社長でもある。

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