罪なき民間人に今もロシアの爆弾が降り注ぐ中、ウクライナの復興に考えを巡らせるのは難しい。だが危機と惨禍のときにこそ、私たちは次のステップを検討しなくてはならないのだ。とくに西側の主要国は、再建支援で中心的な役割を担う必要がある。
欧州委員会は先日、ウクライナ再建に向けて補助金と融資で構成される「リビルド・ウクライナ」制度の創設を提案した。もっとも、ウクライナ再建には巨費が必要となるため、新たな財源の確保が課題となる。凍結したロシア中央銀行の外貨準備のほか、制裁で押収したロシアの新興財閥オリガルヒの資産なども財源に加えるべきだ。
専門家は、ウクライナの再建では地震や洪水など災害からの復旧の視点が参考になると助言する。災害の初動対応で求められるのは止血だが、ウクライナの流血を止めるには、ロシアの侵略者を一掃せねばならない。これは、すでにロシアに占拠されているドンバス地方とクリミア半島も含めての話だ。
ウクライナを守る戦いに従事している人々が、戦争に勝利する勇敢さと決意、不屈の精神を備えていることは、日に日に明白となっている。ところが、ウクライナはまだ軍事的にも人道的にも十分な支援を受けておらず、ゆえに戦況も決定的にウクライナ有利へ傾くには至っていない。
これは「欧州の戦争」
つまりロシアが2月24日に残忍な侵攻を開始してから、ウクライナは片手を縛られたまま、欧州の最前線でこの戦争を戦っていることになる。武器の供給が許しがたいほど遅れているためだ。欧州の価値を守りロシアの帝国主義に対峙するという意味で、ウクライナは「欧州の戦争」を戦っているのに、欧州には自らの安全が脅かされていないかのように振る舞っている国が少なくない。
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