伝説の編集長が教える『会社四季報』夏号活用法 株価が上昇しそうな「熱い銘柄」を探すには?
「再増額の可能性50%」の法則を生かした投資戦略
もう一つ、第1四半期を通過した12月決算企業で注目しておきたいのは、この34社以上に好調な企業があるという点だ。それは第1四半期段階において早くも上方修正を発表した企業である。
東京証券取引所の開示ルールでは、従来予想より売上高で10%以上、利益で30%以上変動することが判明した場合は業績見通しの修正を発表しなければならない。第1四半期に業績見通しの上方修正を発表した企業は、トラックをたった4分の1周走っただけで、早くも目標の超過達成が見えてしまったスゴい企業なのだ(下方修正の場合はその逆)。
しかも、第1四半期の段階で増額修正を発表した企業は、第2四半期でも再増額する可能性が高い。
東洋経済の持つ2006年以降のおよそ15年間の決算データが、この〝法則〟を裏付ける。2006年4月~2021年12月20日の間に発表された決算で、「期初」「第1四半期」「第2四半期」の3つの時点において会社側発表の営業利益がすべてそろっている4万5758件の決算を調べたところ、第1四半期決算段階で上方修正を発表したのは全体の5.0%に当たる2283件あった。このうち第2四半期で再び上方修正を発表したのは1140件だった。つまり、第1四半期決算段階で上方修正した会社のほぼ半数に当たる49.9%が第2四半期でも上方修正していたのだ。
第1四半期で上方修正した企業の株価はたいてい急上昇する。株価上昇により割安修正がなされると上昇が一服し、逆に利益確定売りに押されて値下がりし始めることが多い。この押しが絶好の拾い場となる。上方修正した企業の約半数が次の第2四半期でも上方修正する可能性が高いのだからそのタイミングを待てばよい。5割の確率で第2四半期での上方修正による株価上昇を享受できるのだから、こんなに勝率のいい戦法はそうないだろう。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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