伝説の編集長が教える『会社四季報』夏号活用法 株価が上昇しそうな「熱い銘柄」を探すには?

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この58社を細かくチェックしてみると、環縫い専業のブランド力を南アジアで発揮中のペガサスミシン製造(6262)、電源ICのファブレスメーカーで連続最高益更新中のトレックス・セミコンダクター(6616)、固定抵抗器で世界首位級で、大型設備投資を計画するKOA(6999)、国内外共に販売絶好調のモスフードサービス(8153)などおもしろそうな銘柄もあるにはある。ただ、多くは前述した為替レートの引き直し効果によるものか、そもそも営業利益が1桁億円と少なく、10%程度の上振れは誤差の範囲といってもいいような銘柄だ。

おすすめの注目ポイント

夏号で上振れ期待の銘柄を探すなら、むしろ6月中旬の発売段階で第1四半期決算を通過している12月期会社に注目してみることをおすすめしたい。先ほどの10%以上強気予想の銘柄150のうち、12月期決算会社は34ある。数では3月決算の58には届かないが、12月決算全社(511社)に占める割合は6.7%と3月期会社の実に2倍以上に及ぶ。

12月期銘柄も為替マジックによる上振れや利益がそもそも小さい会社が多いという事情は共通だが、期初であるがゆえに大胆な予想をしにくい3月期会社とは異なり、12月期会社の場合はすでに新年度開始から5カ月が過ぎている。小売業やサービス業では月次の売り上げ速報、機械メーカーでは月次受注高を発表するなど上場企業の200社超が好不調の判断につながる何らかの手がかりを残している。なによりその間には第1四半期である1~3月期決算が発表されているため、このラップタイムを元に記者は突っ込んだ予想がしやすいのだ。

遠藤製作所(7841)もそうした1社だ。ゴルフクラブ鍛造品のOEM(相手先ブランド)生産からステンレス極薄管や自動車部品へと多角化し、タイで工場を展開する。会社側の今12月期営業利益は減益の予想だが、会社四季報は2022年夏号から一転増益とし、強気の予想に転じている。記事では増額の理由を「新モデル年のゴルフ伸びタイ工場フル稼働。シャフト不足が品薄感呼び単価上昇、円安逆風こなす」とし、「コロナ収束を見据え航空機部品の増産計画、本社工場のチタン鍛造設備を刷新へ」とも報じている。6月初まで640円付近でうろついていた同社の株価はすでに100円以上の値上がりだ。

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