上司をナメているのは、絶対にバレている! 「従順なふり」はあなたのためにもならない

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何年か経って、私が上司としてメンバーと対峙するようになってからは、その上司たちの気持ちを思い知る機会が何度も何度も訪れました。期待を伝えたり、具体的な仕事のアドバイスをしたり、キャリアの相談に乗ったり、数々のメンバーたちと面談もしましたが、そのときの返事より、その後の行動を観察していれば、受け止められたかどうかなんて一目瞭然なのです。

上司として信頼されておらず、心を開かせることができなかった私が今イチなのだと言われてしまえばそうなのですが、そのメンバーのことを必死に考えてしたアドバイスが、スルーされていると感じるのは、なかなかしんどいものです。

スルーだけではなく、陰口をたたかれたり笑いものにされているといった情報などもけっこう耳に入ってくるので、「あのときは、前向きな返事をしてくれたのにな」「陰で舌を出していたのか」と思うと、平気な顔、知らん顔をして、継続して期待を伝え続けるには、気分をきちんと切り替える努力も必要でした。

これでは上司の仕事にならない

私は自分が上司になってあらためて、私が上司たちをうまく転がし、高い評価や将来への期待感を得て、「なんかいい感じ~」と思っていたのは、ものすごい思い込みだったと痛感しました。上司の立場になればわかることですが、上司というのは、部下に好きとか嫌いとかはなく、その人の力を最大限引き出し、伸ばして、組織のパフォーマンスを上げることが重要であり、それが仕事なのです。能力の高い人に期待を伝え、アドバイスをするのもそのためです。

だからこそ、その上司の行動が部下の行動を変えなければ、まったく意味がありません。部下の行動を変えるために、いろいろと工夫もしますし、自分では難しければ別の人にお願いして鼓舞してもらうこともあります。

部下により力を発揮してもらうためにしている前向きな努力に、その人が応えるふりだけしているとしたら、上司はどう思うでしょうか。立派な上司はそれでもずっと努力を続けていくでしょうし、そうでない上司ならば「あきらめ」を感じ始めていくことでしょう。そして「ふり」を続ける部下に、「成長意欲がないのだ」と不信感さえ持つかもしれません。

あなたの場合はどうでしょうか。あなたは上司からのアドバイスは想定内のことだと言っています。つまり自分が変わっていくべき方向を理解し、自覚しているわけです。そして上司のことを尊敬していると言っています。自覚があるテーマに対して、尊敬する上司が話してくれる内容がピンとこないワケがありません。本当はわかっているけれど、「やりたくない」のか「見たくない現実」なのかはわかりませんが、ピンとこないという言い訳をしているのだと思います。

さらに上司の気持ちをキープするために、「腹に落ちた」ふりもしている。上司は「満足した姿」を見せていると言っていますが、本当はきっと肩をすくめていると思いますよ。「ああ、またこのやり取りか」と深いため息をついているでしょう。

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