「育児は簡単な仕事」と思ってた彼の育休後の変化 コロナ禍の今だからこそ「男性育休」が必要な訳

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まだまだ「産後の母親のサポート」という印象が強い男性育休だが、実際に取得した父親はどのように感じたのだろうか。

Aさんは、2人目の産後すぐから15カ月間育休を取得した。「当時2歳だった長女は、まだ言葉がうまく話せず、仕事で接してきた大人とは違う乳幼児とのコミュニケーションの難しさを痛感。また、子どものペースに合わせて家事をするのは、肉体的にも精神的にも負担が掛かるとわかった」(Aさん)と言う。

実はAさん「育児は誰にでもできる簡単な仕事だと思っていた」と明かす。第一子のときには保育園の見送りのみで夜は妻に任せっきりで遅くまで残業する日々。だが、育休を取ったことで、家事・育児の両立の大変さを身をもって感じた。今は食事・入浴・寝かしつけまで家族と協力して行っているそうだ。

両立の大変さを実感したというのはAさん以外にも聞こえてきた。1カ月間の育休を取得したBさんも、「家事はもともとやっていたので負担感はなかったが、日中、育児をしながら家事をすることがいかに大変か実感した」と言う。

母親も、夫がそばにいると心強い

夫が男性育休を取ったという人にも話を聞いてみた。夫が2人目の産後から1カ月間の育休を取得したCさんは、「翌日、仕事ではないので、夜間のお世話を夫に気兼ねなく頼めて助かった」と話す。

夫が産後3カ月間の育休を取得したDさんは、「産後、心身共に不安定な状況で、夫がそばにいてくれたのは心強かった」。そしてDさんの夫は、「夫婦で一緒に育児に取り組めたので、家族で幸せな時間を過ごせた」と振り返った。

育休後の家事分担についても、「哺乳瓶の洗い方や消毒方法、お出かけの準備など、細かな部分について、育休中に夫が把握できたので、育休後も連携が取りやすくなった」(夫が1カ月の育休を取得したEさん)と、今回複数人からヒアリングしたがおおむねポジティブな声が多かった。

父母ともに満足度の高い人が多い一方、1週間から1カ月といった比較的短期間の育休の場合、「妻の負担がまだ大きいので、取れるなら1年程度の育休を取得したかった」という声もあった。

また、育休取得の時期についても、「育休といえば、産後すぐに取得するものと思いがちだが、歩き始めてからの子どもも手が掛かる。育休期間の長さだけでなく、取得時期も大切だ」との声も聞かれた。

男性育休は、夫婦共に育児をスタートさせ、家族の基盤を作る良い機会にもなる。特にコロナ禍では、生まれてくる赤ちゃんや、高齢の両親を思いやり、孤独に育児を始める母親が増えている。その場合、母親をサポートできる唯一の頼りは、父親だけという場合が多い。

妊娠したら、まず育休取得や、必要なサポートについて、夫婦で話し合ってみてはいかがだろうか。私自身、一日も早く男性の育休取得が当たり前になることを、ひとりの母親として心から望んでいる。

笠井 ゆかり フリーライター

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かさい ゆかり / Yukari Kasai

1986年生まれ。大阪府出身。神戸大学法学部法律学科卒業。2009年、NHKに入局し、地方局で司法・警察取材を担当。生命保険会社への転職後は、代理店営業やコンプライアンス部門のリスク管理業務に従事。結婚を機にWEB関連会社のライターとなり、2020年からフリーライターとして独立。1児の母。Twitter:@nyagaWEB1

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