「過去の人になりかけた」…君島十和子さんの現在 美容家の第一人者が辿ってきた怒涛の20年

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君島さんのオフィス(撮影:今祥雄)

「時代は変化していますよね。特にこの10年。一瞬でも、目をつむったらあっという間に世界は別物です。それに気づいたのが2、3年前。私は、インスタグラムを始めたのが2019年と後発です。特別でもない生活を写真にしても、誰も喜ばないかなと思って躊躇していて。でも、美容の世界もどんどんSNSが中心になっていき、遅ればせながら始めて。実際にやってみたら、こんなサードワールドがあるんだと驚きました!」

SNSを駆使すれば、一般の個人がメディアにもなれる時代だ。ここ数年、インスタグラムの勢いはとどまることを知らず。美容やファッションを語るインフルエンサーたちが次々に人気を集め、雑誌やテレビの役割をも担うようになった。

「悔しさがゼロと言ったらうそになる」

「今やインフルエンサーの方々が作る化粧品の個人ブランドも無数にあって、そこに各々のファンがいる。この世界では、私の存在感なんて小さい(笑)。20年近くも美容のお仕事をしていて、美容家のパイオニアなんて言っていただくこともありますけど。SNSをやっていなかった人間は、どれだけ経験や実績があってもこの世界にいないも同然。若い世代の人には知られていなくて当たり前だなと」

まさに黒船到来、浦島太郎気分だったと明るく笑う。美容の大家として、サードワールドとはいえ、存在を見てもらえないことは悔しくなかったのだろうか。

「悔しさがゼロと言ったらうそになります。でも、これが現実。一方では、新しい世界を楽しみたいという挑戦心も湧き上がってきて。友人のイヴルルド遙華さん(フォーチューンアドバイザー)に『インスタライブをやってみよう』と誘ってもらって思い切ってやり始めました」

初めてのインスタライブは、予想以上に楽しかったという。

「本名も顔も知らない方がコメントくださったり、応援してくださったり。時にはアンチの人が来ると守ってくれたりもして(笑)。私もできる限りコメント返信しています。バーチャルでも新しい出会いや不思議な絆が生まれるんですね」

現在では、週1、2回は美容にまつわるインスタライブを行ってフォロワーと積極的に交流している。40代以降のデジタルネイティブではない世代は、SNSで自分の存在感をアピールすることやバーチャルな人間関係を構築することが難しく感じられる人も多いが、十和子さんは楽しんでいる。

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