「過去の人になりかけた」…君島十和子さんの現在 美容家の第一人者が辿ってきた怒涛の20年

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芳麗さんによる新連載2回目です

さっぱりとした口調で語るが、当時は生真面目ゆえに上手くできない自分へのストレスで、円形脱毛症や摂食障害寸前にまで追い込まれた。それでも、覚悟を持って入った芸能界。どこかに居場所を見出したいと考えてたどり着いたのがお芝居の世界だ。自ら演劇の研究所に通い、イチから芝居の勉強を始めた。役者としての仕事は少しずつ増えていく。

「最初は2時間ドラマの端役に始まり、だんだん、NHKの連続ドラマなどのお仕事もいただけるようになりました。なぜか、主人公のライバルの意地悪な女性役が多かったです(笑)」

至極、端正な美人顔、近寄りがたいほどのオーラを放つ十和子さんは、女優時代、お高い美人の代名詞のような存在でもあり、“女性の敵”のような役柄がたしかに似合っていた。

自分の立ち位置は自分で作る

「敵役であろうと、犯人役であろうと役割が持てたことがうれしかったです。素の自分とは異なる人物を演じるのが役者ですしね。昔も今も自分の役割を理解して全うしたい気持ちが強いんです。どうすれば、私はここで役に立てるのか。与えられるのを待つのではなく、自ら探したい。求められる人間でありたいという思いが強いのかもしれません」

自分の立ち位置は自分で作り、能動的に働く。責任感が強く勤勉な十和子さんは、どの世界で何をしていても、たとえば、会社のOLでも愛され出世したに違いない。

「いえ、もし、私が一般企業に就職していたら鼻持ちならないOLになっていたと思いますよ(笑)。バブル時代でしたしね。同級生の女子は短大や大学を出て、一流商社の内定をいくつももらって。海外出張や連日銀座でお食事会して、華やかなOL生活送った末に、エリートのダンナ様と結婚して海外赴任先で優雅な生活をしたりしていました。でも私の20代は下積みだったから、そんなバブルの恩恵には一切あずかれず(笑)。もし、そこにいたら、自分は甘え切っていたと思います。今の私があるのは、最初に芸能界で揉まれたからです」

そんな下積みを経て、女優として花が咲き始めた29歳の時のこと。十和子さんの運命は大きな渦に巻き込まれていく――。

(この記事の続き:元女優・君島十和子さんの「大胆な転身」のその後

芳麗 文筆家、インタビュアー

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よしれい / Yoshirei

NHK山形放送局のキャスター業を経て文筆業に。女性の生き方をメインテーマに、雑誌、書籍、Webなど数多くの媒体で執筆。人物を掘り下げたロングインタビューを数多く手がけるほか、恋と愛、生活、カルチャーなどにまつわるコラムも好評。著書に『3000人にインタビューして気づいた! 相手も自分も気持ちよくなる秘訣』(すばる舎)、『ラブ・リノベーション』(主婦の友社)など。音声番組Voicy「芳麗の女と文化の話café」では、本連載に登場した方々とのリラックストークも。日々の生活や取材活動から、生きづらい時代を“幸せに生きるヒント”を多面的に探究して発信中。HPはこちら

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