しかし、今のワクチンでも追加接種をすると感染予防効果がある。それを示すのが下の図だ。3回目のワクチン接種率がもっとも低い大阪府と沖縄県をみると、人口当たりの感染者数がもっとも多くなっている(図の赤く囲った部分)。宮坂さんによると、そのほかの都道府県でも、追加接種率が低い都道府県で、軒並み人口当たりの感染者数が増えているという。
ワクチン追加接種率と感染者数
「ワクチンは重症化という個人を守る術だけでなく、他人への感染を広げるところも、ある程度は抑えてくれる。だから4回目以降も制限をかけず、打ちたい、打ったほうがいいという人は接種してほしい」と宮坂さんは訴える。
ただし、打つ際にはポイントがある、それは“前回の接種からある程度時間をおいてから接種すること”だ。これについて、厚生労働省も5カ月以上経過した人、としている。
これはなぜかというと、2つ目の図をもう一度みてもらうとわかる。
2度のコロナワクチン接種によって作られるメモリーB細胞は、成熟するまで時間がかかる(図の⑤)。さらに、前回のワクチン接種でできた抗体が残っていると、追加接種をしても大量に抗体を作ることができない。そのため、抗体が減るまで待ったほうがよいのだ(⑧)。
これらのことを踏まえ宮坂さんは、4回目以降も高齢者や基礎疾患がある人だけでなく、医療従事者やリスクを抱える人が身近にいる人も、間隔を空けたうえでの接種が必要だと訴える。
和歌山県が出しているデータをみると、追加接種率が高くなるほどオミクロンの感染率も下がっている(下図)。社会全体で感染率を下げるには、高齢者のみならず、若い人を中心に希望者はできるだけ接種したほうがいいといえるのだ。
時間がある日は大阪の大規模接種会場でワクチン接種の手伝いをしているという宮坂さん。「先日は会場に100人くらいしか来ませんでした。ピーク時の10分の1以下です。朝の10時から午後2時まで診察室にいましたが、私が見たのは十何人です。追加接種率の低さは、ここでも実感できます」と話したうえで、こう意見する。
「わが国のコロナワクチン接種の最大の問題点は、分科会のメンバーに免疫学者が入っていないこと。だから今回の厚労省の『追加接種(4回目接種)についてのお知らせ』のような、専門家から見ると疑問が残る対応になってしまう。第7波に備えるためにも見直すべきだと思っています」
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