食料危機救う?急成長「代替肉」知られざる現在地 世界の人口増加で「たんぱく質」争奪戦の懸念も
「欧州グリーンディール」やその関連戦略で持続可能な食料生産や農業の環境負荷の軽減を目指すEUは、昆虫の食品・飼料への利用の促進と、養殖による生産量の増加を目指し、研究開発を手厚く支援している。
例えば、EUの研究開発支援プログラム「ホライゾン・ヨーロッパ」では、新たなたんぱく源として昆虫の可能性に注目し、主要な研究領域の1つとしている。2021年5月、EUは昆虫食を新規食品として初承認した。
日本のスタートアップも参入
海外では大手スーパーや大手食品メーカー、多くのスタートアップ企業が昆虫食の分野に参入しているが、日本でもいくつかの昆虫食ベンチャーが誕生している。
その1つが、コオロギ由来のプロテインバーを販売するBugMo(バグモ)だ。メイン商品は、タイの提携農家で養殖されたコオロギを使用した「BugMo CricketBar(バグモクリケットバー)」。昆虫養殖では、牛に比べて水は2000分の1、餌は10分の1しか使用しない。
規制関連では、農林水産省フードテック研究会において、昆虫養殖の生産工程の基準や製品規格、食品残渣などを活用した場合の生物濃縮、コンタミネーションなどを考慮に入れた一定の基準・仕組みが必要という意見が出ている。
また、「昆虫」をJAS規格に加えるなど国内の規格化のほか、国際規格の設定に向けた議論にも積極的に関与すべきという声や、韓国では昆虫養殖事業者に税制優遇があり、日本も支援策の検討が必要といった声もある。
代替たんぱく質事業への参入には開発費や設備投資が必要だが、すべて自前で行う必要はないかもしれない。この分野は、スタートアップがひしめき合う。むしろ企業の資金を直接投資するコーポレート・ベンチャーキャピタルによる投資や戦略的協業を活用すれば、足元の投資コスト減につながるだろう。
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