食料危機救う?急成長「代替肉」知られざる現在地 世界の人口増加で「たんぱく質」争奪戦の懸念も

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代替肉とは、豆類や野菜などを原材料とした植物由来肉や、動物細胞を培養して製造する培養肉を指す。

植物由来肉の世界市場は2018年の119億ドルから、2025年には212億ドルに拡大し、今後15年以内に1000億ドルを超え、代替肉全体では10年以内に肉市場全体の約10%に当たる1400億ドルになる、との予測がある。日本の代替肉の市場も、2030年には780億円程度に成長すると予想される。

代替肉の開発は、スタートアップをはじめ、大手企業も手掛けている。食品テックベンチャーのビヨンドミートは、2009年にアメリカ・カリフォルニアで事業を開始し、100%植物性(えんどう豆が主成分)の代替肉を製造している。

温室効果ガスを90%、エネルギー利用を46%削減

従来のハンバーガーと比較すると、水利用を99%、土地利用を93%、温室効果ガスを90%、エネルギー利用を46%削減。2011年より大豆のたんぱく質を主成分とする代替肉を製造しているアメリカのインポッシブルフーズは、従来の肉よりも、水利用を87%、土地利用を96%、温室効果ガスの排出を89%削減できるという。

世界最大の家具量販チェーンであるスウェーデンのIKEA(イケア)は、植物由来の原料だけで製造したミートボール「プラントボール」を2020年10月から、店舗内レストランで提供するほか、売店などで冷凍食品として、年間約10億個販売している。

IKEAではフード事業の温室効果ガス排出量の70%を牛肉・豚肉が占める。プラントボールの販売を増やして、2030年までにクライメットポジティブになる目標を掲げている。

代替肉の開発に関しては、規制にも目を配る必要がある。植物肉に関する認証制度は海外で整備されつつあるが、日本でも独自の植物肉の認証制度をつくるべきとの意見がある。

培養肉については、原材料となる細胞や、細胞増殖・高度な組織製造技術に関する知的財産権の管理を、その有効活用も含め戦略的に考える必要がある。また、培養肉を原材料として加工する技術についても、企業間の連携も含め、仕組みを検討する必要がある、との意見が農林水産省の研究会で出されている。

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