億り人はなぜ投資信託ではなく「ETF」を買うのか 「FIRE達成!」おけいどんが明かすその深い理由

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海外で課税された分は、外国税額控除の確定申告をすれば取り戻せる。ただ、全額取り戻せないケースもあるという。

「2020年から、東証上場の日本籍ETFは、外国株式から得た分配金のうち外国所得税が自動で還付される『二重課税調整制度』が導入されました。そのため税率は個別株の配当と同じ20.315%だけです」

投資の出口を意識してETFを買う

なぜ、投資信託ではなく手数料や税金面で劣るETFを買うのか?

「投資の出口を意識しているからです。分配金を再投資してくれる通常の投資信託は、資産の増え方という面でETFに勝つことはわかっています。

ただ、いざ老後になったとき、サクサクと投資信託を取り崩せるか? とくにそのとき相場が暴落していたら、迷いなく削っていけるかどうか自信がありません。ETFなら分配金を定期的に受け取れて、気分的にラクなのです」

さらに細かいことを聞いた。桶井さんのポートフォリオを見ると、東証ETFより海外ETFのほうが多い。なぜ海外ETFなのか?

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「東証ETFは海外ETFに比べて銘柄数が少ないからです。海外ETFでしか買えない銘柄がたくさんあるのです。

でも、初心者はS&P500や全世界株式などが指標のメジャーなETFがいいと思います。こういったETFならスムーズに買える。東証ETFにも、品ぞろえがある。1本目は東証ETFでいいでしょう」

ここで、億以上の資産を築いて早期退職、現在は投資顧問アドバイザーをしながら資産運用の情報を発信するたぱぞうさんにも意見を聞いた。

「売買や税金のことを考えると、東証ETFでいいと思います。今後、東証ETFに『ヘルスケア』『ハイテク』などのセクター別やアメリカの高配当株、増配株などのETFが上場すれば、海外ETFでわざわざ買わなくてもいい気がします」

桶井 道(おけい・どん)/個人投資家、FIRE評論家。2020年、47歳で資産約1億円を達成し早期退職。現在もアメリカ株、海外ETF、日本株をメインに投資。「60歳で年240万円の分配金」と宣言

(構成/編集部・中島晶子)

※『AERA Money 2022夏号』から抜粋

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