高市早苗「スパイ防止法に近いものが求められる」 日本の技術情報はダダ洩れ、「早く止めなければ」

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梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):海外から日本へのサイバー攻撃は、2012年には78億パケットだったが、2021年には5180億パケットと、およそ70倍に増加している。

小川氏:中国をはじめ専門の部隊がそうとう増強されていると言われている。国家として対応が必要な分野だ。日常的なサイバー攻撃は、有事に備え、脆弱な部分を見極める偵察行為だとも言われている。IOT(モノのインターネット)とよく言うが、あらゆるものが電脳空間と接続されつつある時代だ。人によっては生体情報まで登録する時代だ。ひとたび深刻な攻撃にさらされると社会そのものが麻痺する。そういうことに備えた国家的な防御はやはり必要なことだ。

サイバー空間の法改正や情報を守ることに課題

高市氏:平成の時代からロシアも中国も北朝鮮もすごい数のサイバー要員を抱えていた。サイバー攻撃への対応はものすごく大事で、法改正も必要になる。アクティブサイバーディフェンス、本気で守ると。場合によってはサイバー空間上で反撃もしなければいけない。不正アクセス防止法で相手の機器に許可なく入れない。それから電気通信事業法。これは憲法の通信の秘密があり、改正はなかなか難しいが、ただ、国防面でもあまりにも通信の秘密が除外をされないということになると、普段からサイバー空間の動き、ロシア軍の動き、こういうものの情報収集ができなくなるから、法改正も必要になってくる。非常に大きな仕事だ。あらゆる面で情報収集力を強化していくことが、(北海道を含む)北部地域の守りにも南西地域の守りにも直結していくと思う。

(画像:FNNプライムオンライン)

松山キャスター:経済安全保障推進法が5月に成立した。これにより軍事転用される恐れがある技術特許を非公開にできるなど進展した。経済安全保障はこの法律で充分に機能するのか。

高市氏:まずは第1弾ができたということだ。第2弾、残る課題は「セキュリティークリアランス」だ。これは海外から入ってくる研究者も含めてしっかりとクリアランスをかけるということ。人権侵害だとか、さまざまな論争が起こるところであるため、今国会では省かれたが、しっかりやらないと諸外国との民間同士の共同研究もできないという声も上がっている。下手したら日本が欧米のサプライチェーンから外される可能性も出てくるので、セキュリティークリアランスをやらなければいけないと思っている。それから、いわゆるスパイ防止法と、これまで呼ばれてきたけれども、経済安全保障推進法の中にそれに近いものをしっかりと入れ込んでいくことが大事だ。中国の国家情報法、会社法、中国共産党規約などを見ると、中国人民は中国の国家情報工作に協力する義務がある。今の不正競争防止法では、とくに学術機関で行われている研究に関しては対応できない。まだ商品化が決まっていないから営業秘密にならない。国家に忠誠を誓って日本の技術を持ちだすことも図利加害目的とは言い切れない。そういう意味ではもう情報はだだ漏れだ。日本が強いスクラムジェットエンジンや流体力学、とくに耐熱材料の技術などが中国で極超音速兵器など、私たちを狙うかもしれない兵器の開発に使われている。この状況を何とか早く止めなければいけない。

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