「経済的に実家に依存」する33歳彼が語る"誤算" 「日本の一般企業で働けるか未だに自信がない」

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「エジプトの後も中東と東欧の大学で同じく日本語教師として働きました。そこはほとんどの教師が現地人だったこともあり、職場でそれほど親密な付き合いを持てたわけでもなく、基本は自宅と大学の往復でしたね。エジプトの大学では日本人の同僚がいたので、たまにプライベートな交流もありました。

どの国も日本の水準で考えれば低い給与水準でしたが、現地の平均月収よりは多くもらえていたので、生活に困ることはありませんでした。3カ国とも給与の遅滞が多くて、給料が支払われるまで貯金から生活費を捻出していたこともわりとありましたけど」

広く教職という意味で日本の一般企業での仕事とはまた違う面はあるだろうが、教育機関といえども組織で働くことには変わりはない。学部時代、研究者を目指す動機の背景にもなっていた働くことに対する考え方に変化はあったのだろうか?

「実際に飛び込んでみると、意外と普通に組織で働けるかもしれないなと感じた部分はありますかね。コロコロ発言が変わる上司の下で振り回されながら働いたこともあって、組織で働く大変さやストレスに対する耐性は半強制的についたかなと。

でも、僕が働いていた国はよくも悪くもテキトーというか、やはり日本とは仕事への向き合い方が根本的に違っていて。意思疎通が難しい海外で働く大変さや難しさがある一方で、気楽さも確実にあったんですよね」

就活に苦戦、研究の道も諦められない

日本企業で働くことだってわりとテキトーな気もするが、かく言う取材者側(筆者)もどちらかといえば会社員としては不適合者側であり、日本の会社組織で働くことが圧倒的に向いていない人は現に存在する。

しかし、裏を返せば、会社勤めだけが仕事ではないおかげで、自立した生活を送れている人も世の中には少なからずいる……ということだが(筆者自身がその証明の1つだが)、岡村さんの働くことに対する認識が正しいかはともかく、学生など若い人には共感しやすい価値観かもしれない。

「日本で自立した生活を送った経験もないですし、日本の一般企業で働けるかというと正直、いまだに自信がないです。この年齢でこんな不安を持つ人間なんて、ほぼいないだろうなと思うんですけど……」

周知のとおり、大卒者も新卒一括採用のレールから外れると求職時には厳しい現実が待っている。大学院の修士課程を修了し海外で働いた岡村さんは言わば、第三新卒・第四新卒のようなかたちで、帰国後32歳にして就職活動を始めたが、その状況はあまり芳しくないらしい。

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