コロナ対策は「逆に育児女性を苦しめた」過酷現実 「新しい資本主義」は女性の貧困を救うのか

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女性正社員の伸びが大きい金融・保険業界では、2021年の賃金構造基本統計調査によると、賃金もコロナ前より上昇している。個人請負などの女性営業職が基幹的な役割を果たしていた生命保険業界などでの大量の社員化の方針が打ち出されたことも、報じられている。

正社員増加の要因は諸説あるが、女性営業職は従来変動の大きい歩合制給与で退職者も多かった。コロナ禍の感染不安も拡大する中、これらの女性たちを積極的に補充したり、つなぎ止めたりするための正社員化とも見られる。

ただし、この連載の『コロナ禍で女性苦しめる「回転ずし型求職」の絶望』で紹介した生命保険会社の例にもあるように、それが真の「安定雇用」へ向かうどうかは、予断を許さない。

一方、正社員が増えても賃金はさほど上がらないか、むしろ下がっている業界もある。目立つのが、58万人の増加分の約3分の1を占める医療・福祉業界の女性正規の待遇改善度の鈍さだ。

影落とす「地方行革」の継続

介護職や保育士などのケア労働者に対し、岸田文雄首相は「新しい資本主義」の目玉として、今年2月から賃金を収入の3%程度(月額9000円)引き上げるための補助金を支給する処遇改善事業を進めている。

自治体非正規職員の労働組合「東京公務公共一般労組」も要請を行った。ところが、今年2月時点で、東京都内23区のうち、処遇改善事業にかかわりなく非正規公務員が担う職務の6割について賃金を引き上げた世田谷区以外、22区が公立保育園の保育士の上乗せはないと回答した。

理由としては、自治体非正規公務員(会計年度任用職員)の賃金は職務内容や責任に応じて給料表を適用しており、職務と責任に変化がなければ変える必要がない、という趣旨のものが多かった。

1年有期の「会計年度任用職員」は、その4分の3が女性で、賃金水準が低いことが問題視されている。同労組の松崎真介書記長は「一時的なパフォーマンスではなく、会計年度任用職員に認められているはずの経験加算の導入や、必要な職にはフルタイム化を行うといった措置を実行し、ケアにかかわる職務が正当な評価を受け、賃金に反映される制度へ再設計を始めるときだ」と指摘する。

内閣府の2021年3月時点の調査でも、全国1471市区町村のうち公立を対象とした申請は、474市区町村だ。内閣府は「今後の申請で増えると期待している」と言うが、1980年代以来続く地方行革の中で、恒常的な人件費確保への不安から、賃上げに後ろ向きになる自治体の姿がそこある。

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