三井化学、中国の投資攻勢に耐えてV字回復 リストラによる3期連続赤字から黒字化へ

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「業績が好調なうちにエチレンプラントの再編準備を進めるべき」と語る淡輪敏社長(撮影:梅谷秀司)

フェノールに関しては千葉1基を停めて、大阪、千葉の各1基体制になった。フェノールは常温で固まる性格を有しているので手間が掛かる。タンクを高温にしなければいけないし、ローリーやタンカーも保温しながら運ぶ必要があるため、東西に拠点をもっていることは輸送距離を縮める意味でもメリットがある。

足元は円安の影響でいろんなことが起こってきている。たとえば、今までは、合板が製品としてインドネシアやマレーシアから相当入っていた。それが、ここまでの円安となると輸入されなくなり、国産の製品は針葉樹がメインになる。これを貼り合わせるにはフェノール系の接着剤が必要。そういった需要が戻ってくる可能性がある。

エチレンプラント再編にも前向き

――経済産業省はエチレンプラントの再編を業界に求めている。どう対応するか。

足元の稼働率は国内平均で95%を超しており好調だ。しかし将来的には米国や中国の供給が増えて需給が緩む可能性が高く、現況に安穏しているわけにはいかない。余裕がある今のうちに、再編の準備を進めるべきだ。

2010年から出光興産と始めた千葉のエチレンセンターでの取り組みについては、一定の成果が出ている。競争力の薄い、付加価値の低い汎用のポリオレフィンなどについては整理を進めてきた。エチレンプラントの定期修繕は2年に1度で、そのタイミングが再編の好機となる。

今2015年3月期は営業益400億円の見通しで、このまま構造改革を進めていけば、中期計画で掲げた2017年3月期の営業益600億円目標の達成が見えてくる。ただ、次の2020年の1000億円目標に向かって収益性をさらに上げなければいけない。

山内 哲夫 東洋経済 記者

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やまうち てつお / Tetsuo Yamauchi

SI、クラウドサービスなどの業界を担当。

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