中国市場は"捨てる"、日本触媒の自信 工場の爆発事故から2年。池田全德社長に聞く
――姫路工場でSAPの増設を決めました。
事故後、姫路の復旧を最優先とし、新規計画は凍結した。が、最後まで再開許可が下りなかったアクリル酸プラントも今年2月に再稼働し、次の拡大策を起動する条件が整った。
当初はBCP(事業継続計画)の観点から、もう姫路では新プラントは作るまい、と思っていた。事故は二度と起こさないし、起きないと思うが、万が一ということがある。
だが、今後のSAPの競争環境を考えると、従来の1系列3万トンを5万トンに拡大してコスト力を強化したい。新しい実証プラントは、やはりマザー工場の姫路で立ち上げるのが一番いい、となった。工期は約2年。海外で作れば、工期は3年、建設費も倍かかる。
事故前にあった姫路の増強計画
――地元姫路への配慮もあった?
2年前の事故の直後、姫路市長にお詫びに伺った。そのとき、「事故に対しては厳しい措置を取ることになると思うが、姫路からは出て行かないで下さい」と言われた。
実は、事故が起こる前には、姫路工場の西側にある木材港を埋め立て、将来的にここにSAP20万トンと、SAPの原料となるアクリル酸16万トンの設備を建設する計画を持っていた。もともと、所有者の兵庫県はこの木材港をプレジャーボートの基地として開発する予定だったが、知事にこちらの計画をお話し、用途転換を決断していただいた。
ところが、広大な土地を購入した途端、事故を起こしてしまった。もちろん、悪いのは事故を起こした私ども。SAPの最大の顧客からも「これ以上、姫路に集中しないで欲しい」と言われて、県知事にお断りを入れた。「残念ですね」とおっしゃった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら