中国市場は"捨てる"、日本触媒の自信 工場の爆発事故から2年。池田全德社長に聞く
――広大な埋め立て計画が消えてしまった。となると、今回発表されたSAPの5万トン増設の「次」はどうなりますか。
紙おむつ用の吸水材としては当分、SAPに代わるものが出てこない。今後、新興国の紙おむつ需要が本格化するし、先進国では高齢者向けが増える。SAPは中長期的に年率5~7%の成長が見込める、と思う。
すると、今回の姫路の5万トンプラントが動いても、2018年半ばにはモノが足りなくなる。そこを目指して、さらに5万トンプラントを2系列、原料となるアクリル酸10万トンをセットで新設する計画を立てている。
それをどこに作るか。候補地はベルギーのアントワープ、国内の川崎か千葉、米国ヒューストンを考えている。営業サイドからベルギー増設の要望が強く、事業化調査はアントワープを最優先で進めているが、川崎、千葉の可能性も残っている。
「中国の市場なんてどうでもいい」
個人的には、日本で作りたい。日本を空洞化させたらいかんでしょう。何より、海外で建設すれば、人の問題が大変。日本なら、マザー工場の姫路の人間を送ればいい。
川崎や千葉のコンビナートでは石油化学企業の撤退が相次ぎ、土地が空く。コンビナートの中だから、蒸気や水、発電設備などのユーティリティが整っているし、川崎なら、既存の自社工場と一体運営できるメリットもある。姫路よりコストは高いが、まあまあの効率を実現できる。
――一方で、中国のSAP工場の増設を取り止めました。
中国は地元メーカーが競って工場を建設し、安売り競争に走っている。そういう所で投資しても回収できない。韓国もそうだが、中国には知的所有権上のリスクもある。
ライバル企業が中国で増設しているが、あんな危ないことをよくするな、と思う。当社が03年、中国・張家港に初めて工場を作った時も、私は反対だった。中国の市場なんてどうでもいい。捨てていますから。
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