ユニクロ・おむつ・航空機、東レ支える3兄弟 新たな中期経営計画では強気の収益目標

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2014年度が初年度となる中期経営計画で強気の収益計画を打ち出した日覺昭廣社長(撮影:梅谷秀司)

2016年度の連結売上高2兆3000億円、営業利益は1800億円。14年度からの3年間で売上高を25%、利益は6割強増やす。東レが強気の中期経営計画を打ち出した。

意欲的なのは収益だけではない。環境エネルギー分野に加え、医療・健康分野を中心に14年度からの3年間で設備投資に合計4000億円を投じる。同期間で研究開発費は1800億円、コスト削減は2000億円を見込んでいる。

M&Aも進める。昨年9月には米国の炭素繊維メーカーを買収し、同11月には韓国のウンジンケミカル社の過半数株式を取得した。今後も「トータルで2000億円」(日覺昭廣社長)を投じていく計画だ。

計画実現の原動力

どこを切り取っても大胆な数字が並ぶ中期計画だが、収益拡大のカギを握るのが、ユニクロとおむつとボーイング。繊維3兄弟だ。

東レとユニクロの付き合いは長い(撮影:吉野純治)

1つめが、ファーストリテイリング(FR)向けが中心の縫製品事業。ユニクロGO推進室の設置(2000年)、FRとの戦略パートナーシップ締結(06年)、機能・縫製品事業部門の創設(07年)など、FRの成長とともに拡大を続けてきた。同事業は、13年度3580億円の売上高を16年度に4600億円に伸ばす計画を立てている。

おむつに代表されるポリプロピレンの不織布事業も大幅な伸びを予想している。新興国の人口増や高齢者の増加などを背景に、13年度280億円の売上高は16年度に400億円への拡大を見込んでいる。

3つめは航空機向けをはじめとする炭素繊維事業だ。13年度の世界需要は3.9万トンと前年比ではわずかな伸びに止まった。しかし、「今後は年率20%成長が期待でき、15年度の世界需要は6万トンに達する」(日覺社長)と自信を見せる。

米国に工場新設

東レの榊原定征会長は6月に次期経団連会長に就任

ボーイングやエアバスの新機種向けの採用が期待される上、最近はシェール革命の影響で圧力容器向けなど、炭素繊維の用途が拡大。生産能力の不足が予想されるため、米国のサウスカロライナ州に160万平方メートルの工場用地を取得。炭素繊維の一貫生産工場などを立ち上げる。

2014年3月期の連結営業利益は1100億円と過去最高になる見通し。絶好調に見える東レだが、死角が皆無というわけではない。

たとえば、同業各社も軒並み苦戦している情報通信材料分野だ。薄型テレビ用大型液晶パネル向けフィルムやスマホなどの中小型ディスプレイ向け製品は苦戦続きで、「高性能化、高機能化を織り込んで、ようやく価格を維持できるのが現状」(日覺社長)。 

同業他社同様、東レも祖業である繊維事業を多角化し、繊維事業そのものでも炭素繊維の開発を進めるなど、事業の柱を大胆に変えてきた。3年後の利益6割増は、これら繊維3兄弟の伸びにかかっている。

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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