紙おむつ“影の主役” 日本触媒SAPとDNA《上》
「オギャア」と生まれ落ちてお世話になり、老境深まると、またお世話になる、現代社会の必需品。紙おむつである。
2009年度、日本で生産された乳幼児用紙おむつは78億枚、大人用は50億枚で計128億枚(日本衛生材料工業連合会)。世界の生産量は誰もつまびらかに計算していないが、1400億枚を超えるとみられる。
影の主役が、高吸水性樹脂(SAP)だ。SAPは自重の500~1000倍の水を吸収する。パルプの間にSAPを挟み込むことで、かつて座布団のようだった紙おむつはドンドン薄くなり、発売当初の1枚60グラムが30グラムまで軽くなった。
この影の主役、いや、紙おむつの最も重要な構成要素の供給責任を担うのが、日本触媒だ。生産能力は年間47万トン。世界最大の化学メーカーBASFを押さえ、30%のトップ・シェアを握っている。
「二律背反をやってくれ」P&Gとの二人三脚
SAP様々(さまさま)だ。リーマンショック直後の08年度に創業以来初の赤字決算(マイナス53億円)となった日本触媒は、10年度、190億円の純益を上げ、過去最高益(05年度162億円)を軽々と更新する。推進力となったのが、主力工場、姫路製造所のSAP、そしてSAP原料であるアクリル酸の大増強だ。
アクリル酸の増設能力8万トン(15%増)が10年4月、SAP6万トン(15%増)が10月に立ち上がり、いきなりフル操業に。締めて200億円の投資タイミングは絶妙だった。が、ちょっと待て、だ。
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