中国市場は"捨てる"、日本触媒の自信 工場の爆発事故から2年。池田全德社長に聞く

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――改めて、2年前の事故を振り返って下さい。どこに問題があったのでしょう。

誰が悪いではない。社員全体の共通責任。管理部隊も含め、後ろには誰もいない、自分がゴールキーパーだ、という気持ちを持たねばならない。そのことを口を酸っぱくして言っています。

事故を起こしたのは、普段は使っていない中間貯蔵タンクだった。液を循環させて冷却する装置を「開」にしておけば何の問題もなかったのに、誰かが開いているだろう、と思い込んでしまった。まず、こういう思い込みを排する安全意識を醸成する。

それでも人間は失敗する。分かっていても思い違いもある。そのために、設備でプロテクトする。手始めに、プラントのいろんな箇所に温度計を設置した。100%の安全はないが、99を99.99・・・にしていきたい。

「サボっているヤツの給料は上げん」

池田氏は社長に就任する前から「誇りを持てない会社はダメだ」と考えていたという

――新長期経営計画の基本姿勢として「皆が誇れる会社」を目指す、そして誇れる会社とは「安全で安心して働ける会社」「汗を流した人が報われる会社」だ、と定義しています。これは社長自らの発案ですか?

そう。事故の後、研究所や工場の社員に集まってもらっていろいろ話を聞いた。新入社員と言っても、下は高卒の18歳から上は博士課程を出た26歳までいる。これだけ幅があると、経営の基本姿勢はできるだけわかりやすい言葉にしたほうがいい、と思った。

私は社長に就任する前から、誇りを持てない会社はダメだ、と考えていた。「安全」とは、事故も労災もない会社。当社はリストラはしません。終身雇用を保証しているから「安心して働ける」。ただし、サボっているヤツの給料は上げんぞ、というのが「汗を流した人が報われる会社」です。もちろん、赤字を垂れ流していたら、胸を張ってこの会社で働いている、とは言えません。きちんと利益を出すことが「誇れる会社」の基本条件です。

(撮影:梅谷秀司)

梅沢 正邦 経済ジャーナリスト

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うめざわ まさくに / Masakuni Umezawa

1949年生まれ。1971年東京大学経済学部卒業。東洋経済新報社に入社し、編集局記者として流通業、プラント・造船・航空機、通信・エレクトロニクス、商社などを担当。『金融ビジネス』編集長、『週刊東洋経済』副編集長を経て、2001年論説委員長。2009年退社し現在に至る。著書に『カリスマたちは上機嫌――日本を変える13人の起業家』(東洋経済新報社、2001年)、『失敗するから人生だ。』(東洋経済新報社、2013年)。

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