ヤマト、メール便廃止で規制との闘いに決着 今年上場する日本郵政の攻勢が響く

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今あるクロネコメール便は、縦・横・厚さが計60センチメートル以内で、ほぼA4サイズ。主に個人向けとなる料金は、厚さ1センチメートルまでが1個82円、2センチメートルまでが164円である。

ヤマトはメール便の代替として、4月に新たな三つのサービスを導入する計画だ。

現在では、利用者の9割が法人、残りが個人。まず法人専用向けでは、カタログやパンフレット、チラシを送る通販業者などに、「クロネコDM便」をスタートする。ポスト投函型で、料金は相対交渉になる。信書が入ってないことも事前に確認する。

その一方、個人・法人向けは、宅急便の最小サイズより小さい、“小型の宅急便”を開始。衣類や化粧品などを専用ボックスに入れて配送する対面手渡し型だ。料金は1個400円台からで、既存の宅急便で最も安い700円前後に比べても、割安となる。

新サービスはメール便より高く

さらには、クロネコメール便により近い形として、CDやDVDなど、厚さ2.5センチメートル以下で薄く小さな荷物用に、同じくポスト投函型の新サービスも始める。こちらは既存のメール便より料金は高くなる可能性があるという。

これに対し、競合する宿敵JPは、「ゆうメール」の取扱数量を着実に拡大。小型サービスでも、2014年に投入した「ゆうパケット」など、ラインナップを拡充している。今年後半には親会社である日本郵政の上場が計画され、成長戦略を問われるJPが攻勢を強めるのは必至だ。

規制で身動きが取れず、メール便を捨てたヤマト。JPという“巨人”を前に旗色は悪いが、新サービスでどこまで対抗できるのか。

「週刊東洋経済」2015年2月7日号<2日発売>「核心リポート05」を転載)

石川 正樹 東洋経済 記者

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いしかわ まさき / Masaki Ishikawa

『会社四季報』元編集長。2023年より週刊東洋経済編集部。

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