「これから日本で起こること」とは何か?

アナリスト・三井智映子氏が中原圭介氏に聞く

たとえば、地殻のひずみが限界を超えると大きな地震が発生しますが、経済のメカニズムも同じです。経済的なひずみ=不均衡が限界を迎えると、大きな経済危機が生じることになります。バブルの崩壊などは一番わかりやすいケースです。

そして、4つめは、経営者の視点で経済を見るようにしていることです。現実の経済は、経済学の理論どおりにはなかなか動いてくれないものです。なぜなら、経済は主にビジネスの現場が動かしているのであって、企業の経営者は合理的でない経済の理論など当てにはしていないからです。

実際の経済はビジネスの世界で動いているのであり、ビジネスのルールや前提が変われば、当然のところ経済の中身も変わっていきます。経済は生き物のように、刻一刻と変化しています。それに伴って、企業の経営も確実に変化してきています。したがって、企業がこれからの経営戦略を考える時に、2000年あるいは2010年の時に取った戦略と同じ戦略を安易に選択することはありません。

ですから私は、経済学者と呼ばれる先生たちは経済学という狭いフィールドに閉じこもることなく、ビジネスの現場や企業経営の現場を積極的に学ぶ必要があるのではないかと考えています。

原油が半値になると予想できたワケ

三井:今でこそ原油価格の動向が注目されていますが、中原さんは『シェール革命後の世界勢力図』(ダイヤモンド社・2013年6月刊)やその他の著書でも、原油価格は半値になると予想されていました。2013年の段階でなぜそのように予想できたのですか?

中原:その予想を書いた当時(2013年春)は、OPECが原油需要の将来見通しを上方修正するなど、世界の名だたる主要機関が原油価格の上昇トレンドは変わらないという見通しを立てていました。しかし、経済はビジネスの現場で動いているという視点から、経済的合理性や企業経営の視点、需給関係などから総合的に判断すると、原油価格は下がらざるを得ないという結論にしか達しなかったのです。

たしかに、シェール革命による供給過多がもたらす原油安のトレンドについては私の想定どおりであったと言えると思います。ただし私にも誤算だったのは、WTI原油価格が70ドルまで下落してきても、OPECによる減産の対応がなされなかったということです。そのために、下落のペースが予想していた以上に速くなってしまい、私が想定していた時間軸の半分くらいで半値になってしまいました。

いずれにしても、サウジアラビアとアメリカの原油における覇権争いは、現時点の世界情勢から判断すると、アメリカに有利であると言わざるをえないでしょう。
原油安は過去のケースでもアメリカ国内で消費増加をもたらしており、アメリカ経済にはプラスに働くこととなるからです。その一方で、サウジアラビアは財政均衡を達成できる原油価格が80ドル前後であり、長期戦に持ち込むほど中東の地政学リスク(北はイスラム国、南はイエメンに挟まれて軍事費の増額が求められている)が重荷になってくるのは避けられそうもありません。

経済の視点からだけでなく、地政学的な視点から見ても、明らかに原油戦争ではアメリカが有利な状況にあるわけです。その結果、今後はアメリカ経済の一人勝ちの様相が強まっていくでしょう。

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