過去最高!高級日本酒がじわじわ売れ始めたワケ 国内消費低迷、輸出絶好調の現状を読み解く

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また日本酒の関税撤廃や輸出用「標準的裏ラベル」(香味や歴史・ストーリー、料理との相性などを簡単に英語表記にするシステム)や「地理的表示」(GI)の活用など、外国人によりわかりやすい商品説明とブランド力向上にも国レベルで注力しています。

さらに現在、和食に続けとばかりに、日本酒・焼酎の世界登録への取り組みも進められています。

今、中国、香港、台湾では、和食店が急増。国内ECサイトの拡大やBYO(お酒持ち込み)システムの充実も進み、日本酒が売れる環境が整いつつあります。

特に中国は、東日本大震災時の東京電力福島第一原子力発電所事故以降、宮城、福島、茨城など10都県からの酒類を輸入停止していますが、それでもこれだけの輸入増です。

アメリカでは、飲食店や酒販店に知識を持った提供者が増え、品質管理やサービスの充実が図られたことが挙げられます。

注目すべきフランスは、ワインを主にしたガストロノミー(食事と文化の関係を考察すること)の広がりがあり、日本酒も同様にとらえられていることが大きな理由です。

毎年パリで開催される、「フェミナリーズ世界ワインコンクール」は第14回大会の2020年から日本酒部門が、第16回大会となる2022年から蒸留酒部門が新設されています。また同様にパリで開催されるKURAマスターはソムリエが審査する日本酒コンペとして新たに創設されました。さらに、日本酒造組合中央会が2020年にフランスソムリエ協会とのパートナシップを締結したことも多大な影響となっているはずです。

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