学校教師も銃を持て?アメリカの厄介すぎる論争 銃規制進んだイギリス、オーストラリアとの差
オーストラリアでは1996年、最も凄惨な事件と言われている「ポート・アーサー事件」が起こった。タスマニア島の観光地、ポート・アーサーにあるカフェで男が半自動小銃を発砲。カフェにいた人々を次々に射殺、その後も場所を変えながら発砲を続けて35人を殺害した事件だ。
当時のジョン・ハワード首相は、事件後すぐに銃規制を提唱。1カ月後には全国銃器協定が起草され、ほぼすべての自動・半自動小銃が禁止された。すべての銃に登録の義務を課し、新規の銃器購入にはすべて許可証や免許を必要として、銃器携帯のためには”自己防衛以外の“真の理由を証明することを課した。
加えて、国民が所持している特定の銃を買い取るための「買い戻しプログラム」を実施した。この買い取りによって、合法的に所有されていた約65万丁の銃が政府により買い取られて破棄されることになった。
コロンビア大学とノースカロライナ大学の教授が共同で10カ国以上で行った130件の調査によると、銃を規制すると自殺や事件が減少する傾向があることがわかっている。凄惨な事件が起こるたびに規制が強化され、その結果、銃による自殺や犯罪発生率が下がっていくというのが現実なのだ。
ギャラップ社の調査によると、民主党員の91%がより厳格な銃規制を支持しているが、共和党員で支持するのは24%しかいない。NRAは2年前の大統領選において1660万ドル(約21億7200万円)、2022年の今年だけでもすでに440万ドル(約5億7500万円)を共和党に寄付している。共和党にとってはNRAは選挙献金の主な貢献者であり、そうそう主張を変えることはできないという背景がある。
今回の事件を受け、行動を起こさない議員への圧力は日々増してきており、近く民主、共和両党の議員が協議を始めることになった。超党派でこの問題に対する直接的な解決策を見つけなければ、銃による殺人事件は今後も続くことになるだろう。スクールシューティングは防がねばならない犯罪であり、殺すのは人ではなく銃なのだ。
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