好き、求められている、学べるが仕事の3条件--『ムーンショット デザイン幸福論』を書いた奥山清行氏(工業デザイナー、KEN OKUYAMA DESIGN CEO)に聞く

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 そのときそのときの仕事にほれ込んでいないと、デザイン業はできない。正しい正しくないでなく、好き嫌いとなる。いちばんほれ込んでいるのが自分でないと、とても本心でプレゼンテーションすることはできない。だから、つねにライバルは過去の自分であり、次の仕事は今やっている仕事より、さらにいい仕事ということなる。

──つねに上り坂?

上れなくなったら、やめるしかない。僕のような体育会系の切り込み隊長といったタイプの経営者は、自分が部下の誰よりもでき、かつ内容を誰よりもよくわかっていないと駄目だ。そうできなくなったら引退だろう。

──調整、管理好きの日本人では少数派ですね。

それが不思議。日本人はそんなぬるま湯で仕事をしているのかどうか、大きな疑問だ。アメリカやドイツ、イタリアでも仕事をしてきたが、僕みたいなのは当たり前だった。むしろ僕以上に頑張り、努力している人たちに山ほど出会ってきた。

--「好き」が仕事を受ける三つの条件に入っています。

好きでないと続かないし、学ぶものがないとつまらない。さらに、求められていないところに自分から入っていくのはたいへんだ。仕事は相互通行なので、求められていることが必須といえる。この三つの条件がそろわないと、受けても満足のできるものはできない。

──スーパーカーのデザインでも、もちろん求められた?

たとえば、フェラーリのエンツォを手掛けさせてもらえたのは、その業界で生きてきた人には見えないものが見えたからだろう。国を捨ててイタリアまで行って仕事をする人間には、悲壮感が漂う。一旗揚げないと日本に帰れないから、並みの努力ではない努力をした。まず仕事の量を果敢にこなした。量をこなせば質が自然についてくる。

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