日本は世界的な食料危機と物価高にどう向かうか 国内電力の安定供給に原発再稼働は現実的なのか
食料や肥料の輸出、エネルギーが課題
ロシアが黒海の港を封鎖し、ウクライナの穀物が輸出できず、アフリカなどで飢餓発生の恐れが高まっている。これに関し、玉木氏は、発展途上国が中国の「債務の罠」に陥っている中で、穀物価格が高騰すると、さらに中国が支援の名の下に手を伸ばす可能性があると指摘。先進国が積極的に支援に乗り出し、とくに日本が旗振り役として世界に先駆けて発信するべきだ、と主張した。
慶應義塾大学の廣瀬陽子教授は、「小麦の問題は非常に深刻だが、ロシアとベラルーシの肥料も輸出されない状態だ。今夏の干ばつも危惧され、早急に対応しなければ来年各地で飢餓が起こることが想定される」と警鐘をならす。
西村氏と玉木氏はいずれも対ロシア経済制裁の強化で一致。西村氏は、エネルギー価格高騰を受け、原子力発電所を再稼働させる必要性を強調した。「原発1基を動かせば、LNG(液化天然ガス)100万~150万トンくらい(輸入の)必要がなくなる。価格も全体的に下がる」と述べた。
玉木氏は、ロシアからの化石燃料の輸入で、毎年何千億円もの対価をロシアに支払っており、それが武器弾薬や長期化する戦費の調達にまわっている、と指摘。経済制裁を効果的にするため「日本も覚悟を決めないといけない」と述べ、原発再稼働を含む国内の電力安定供給のメカニズム構築を前提に、ロシアからの化石燃料の全面禁輸に踏み切るべきだとの考えを示した。