(第53回)労働人口が減るのに外国人に門を閉ざす愚

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人的資源の受け入れに門を閉ざす日本

もちろん中国の大学卒業生を日本社会に受け入れるのは、容易ではない。国民感情や言葉の問題があるし、日本の若者の失業率が高まるという深刻な問題もある。また中国人学生が日本企業に定着するかどうかも定かではない。中国の知的労働者を活用するには、これらの障害を乗り越えることが必要だ。個々のケースで試行錯誤によって解決すべきこともあるし、国の政策も関連する。

それらについてこれから検討するとして、まずマクロ的な状況を確認しておこう。現在の日本の状況は、グラフに明確に示されている。第1に、日本の労働年齢人口は、将来著しく減少する。第2に、それにもかかわらず、日本の外国人労働者の受け入れは異常といえるほど低い。

まず第1点を見よう。グラフに示すのは、各国の移民政策が現状のままとして、05年から20年までの間に増加する労働年齢人口を、05年との比較で示したものである。日本はマイナス11・6%である。イタリアとドイツの減少率も6%を超える。それに対して、イギリス、フランス、オーストラリア、アメリカでは、労働力人口が増加すると予測されている。日本は、先進諸国の中で例外的と言えるほど深刻な労働年齢人口減少に直面するのである。

第2点の外国人労働者受け入れに関しても、日本は極めて例外的だ。多くの先進国において、07年に総労働者の中で外国人の占める比率は6~10%程度である。スイスとオーストラリアは20%以上になっている。ところが日本は0・3%弱でしかない。先進国平均の20分の1から30分の1であり、オーストラリアに比べれば85分の1でしかない。「ヨーロッパ諸国は旧植民地との関係があるから、日本とは比較にならない」という意見があるかもしれない。しかし韓国が2・1%であること(グラフには示していない)と比較しても、日本の数字は低すぎる。

 

 

 

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