800人の限界集落が「デジタル村民」集め目指す世界 NFTを村民の証しに、村のガバナンスにも参加

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新潟県長岡市・山古志地域の試みは「新しい民主主義」につながるでしょうか?(画像:山古志住民会議より)
2022年2月、ロシアのウクライナ侵攻により、「専制主義」が「民主主義」国家を混乱に陥れる状況が突如起こった。それとともにちまたでは、「旧来型の民主主義」の限界が叫ばれ始めている。そうした中、急激な過疎化が進む「山古志地域(旧山古志村)」による、時空間を超えた関係人口を創出するための「電子住民票を兼ねたNFT発行」プロジェクトがにわかに話題だ。
デジタル村民総選挙、NFTでの財源確保など、世界で「初」となるさまざまな取り組みは「新しい民主主義」につながるのか。NFTによってもたらされる、まったく新しいこれからの民主主義とはなにか? 驚きの未来予想図を、デジタルアーキテクト、ベンチャーキャピタリスト、起業家として活動し、新刊『テクノロジーが予測する未来』を上梓した伊藤穰一氏に語ってもらった。

アートをNFT化して販売、購入者は「村民」になれる

新潟県長岡市にある山古志地域(旧・山古志村)は、現在、村民800人ほどのコミュニティーです。2004年に発生した中越地震で、およそ2200人いた村民全員が村外への避難を余儀なくされた村、と聞けば思い出す方も多いのではないでしょうか。

その山古志が2021年2月、地域活性化の一環として、こんな施策を打ちました。世界にも多くのファンを持つ山古志特産の「錦鯉」を描いたデジタルアートをNFT化して販売し、購入者は「デジタル村民」になれるという世界初の試みです。

「錦鯉」を描いたデジタルアート(画像:山古志住民会議より)

デジタル村民には「デジタル住民票」を発行。これにより地域活性化のプロジェクト会議への出席や、「デジタル村民選挙」での投票ができるようになります。NFTの販売は現時点で第2弾まで実施されており、すでにリアル村民数を超えるデジタル村民がいます。

NFTをデジタル村民の証しとし、村のガバナンスにも参加してもらう。しかも転売者が2022年3月時点ではゼロだといいますから、非金銭的で長期的な価値を取り扱い可能にするNFTの特性を、フルに生かした素晴らしい試みといえます。

こうしたweb3的な試みが示しているのは、今後、web3が行政にも行き渡った場合、ガバナンスの民主化が加速していく可能性です。

既存のガバナンスは有権者が自分たちの代弁者を選び、選出された代弁者たちが議会で話し合って政策を決める、という代議制民主主義(間接民主主義)です。

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