800人の限界集落が「デジタル村民」集め目指す世界 NFTを村民の証しに、村のガバナンスにも参加
その点、政情が不安定な国や、とくに強い産業があるわけでもなく、自国通貨の競争力も低い国、つまりフィアットエコノミーがもともと脆弱な国は、むしろクリプトエコノミーの浸透が早い傾向があります。そこに活路を見いだすしか、生き残る道がないと考えるからです。
現にDeFiの採用率のランキングを見ても、日本はかなり下位にいるのに対し、上位には新興国が多く入っています。自国経済に不安を抱いている人ほど、クリプトエコノミーに魅力を感じやすいということを示しています。
では、日本のようにフィアットエコノミーが盤石な国では、クリプトエコノミーは限定的なムーブメントで終わるのでしょうか。結論からいえば、そうはならないでしょう。いくらフィアットエコノミー側で危機感が高まっても、多くの人がクリプトエコノミーを求めたら、もうその勢いを止めることはできないからです。
加熱し続けるクリプトエコノミー
Web1.0のときも、当初はインターネットの違法性を唱えて排除しようという動きが見られました。
しかし、その後あっという間にインターネットが浸透するなか、そんな動きは自然と立ち消えになってしまいました。「インターネットのある生活」が既成事実化した時点で排除は不可能となり、反発していた人たちですら、当たり前のようにインターネットを使いはじめました。
もう1つ追加しておきたいのは、インターネットはつねにつながるわけではなく、ときどき落ちてしまうというところです。ウェブ黎明期には、この感覚が社会になかなか受け入れられなかったのですが、だんだんと受け入れられるようになっていきました。エルサルバドルのように、すでにビットコインを法定通貨に定めた国家も登場しています。
とはいえ、先ほども述べたように、そもそも仮想通貨でのマネーロンダリングなどを行うのは難しく、さらに、仮想通貨が一般に普及すれば、それだけセキュリティーも拡充されていくはずです。サイバー犯罪と同様、実際には独裁者が仮想通貨を悪用しはじめる前に十分な防御力を整えていく必要があります。
また別の可能性としては、もし独裁国家が本格的に仮想通貨を活用するようになったら、権力者の資産凍結や国際決済網からの締め出しといった経済制裁の効果が薄れることも考えられます。仮想通貨は国家の枠組みを超越します。国家の管理下に置けないというのは、見方によっては国際金融システムの大きな抜け穴といえるのです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら