800人の限界集落が「デジタル村民」集め目指す世界 NFTを村民の証しに、村のガバナンスにも参加

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しかしweb3の最大の特徴は分散化(非中央集権化)です。web3を支えるブロックチェーンという仕組みによって、さまざまな非中央集権的な試みが行われていますが、「民主主義」のあり方にも激変をもたらす可能性があるものが、「DAO(ダオ)」です。

有権者の意思を反映した政策が可能に

DAOとは、「Decentralized Autonomous Organization =分散型自律組織」です。この形態の組織では、「経営者→従業員」といった上意下達ではなく、何事もメンバー全員参加のもとで直接民主主義的に決められます。地方行政、さらには国の行政でも、このまったく新しいDAO的ガバナンスがとられる日がくるかもしれないのです。

代議制の問題点は、「議員が有権者の声を代表して行政を担う」というのが有名無実化し、実際には有権者の意思に反する政策がとられる可能性を排除できないことです。

たとえば国民が納めている年金は、国から委託された「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」によって運用されていますが、いったいどんなところに投資されているのでしょうか。

もしかすると、会社員の利益に反する決断を行う企業に投資されているかもしれません。会社員から集めた資金が、会社員にとっては断じて受け入れられないような企業に回されている。もしそうだったら、とくに会社員の人は、かなり反発を覚えるでしょう。

年金を払っている人の大半が会社員だとしたら、有権者の意思に反する決定をしていることになります。でも僕たちは運用団体の決定にいっさい関与できません。そこで、もし年金の運用団体がDAO化したら、と考えてみるとどうでしょう。年金の投資先を決めるプロセスが、瞬時に直接民主的になります。DAOに参加して、年金の投資先に意見を言いたかったら、この「年金運用DAO」のガバナンストークンを買えばいいだけです。

ただのお金ではガバナンスに参加することはできませんが、トークンならば、このように、自分の持っている資産が、必ず自分の望む方向へ向かうよう働くことになるのです。

代議制では、すべてを議員に委ねなくてはいけません。これに対してweb3的な技術による改革を行うと、どのようなシステムになるのでしょう。

たとえば、案件別にプロジェクトチームを組み、そこに参加する有権者全員でガバナンスを働かせる。そうしたほうが、よほど国民の声を反映した政策になるはずです。

現に山古志の例では、NFTを持っているデジタル村民たちが、みずから地域活性化のプロジェクト会議に出席しています。すでに行政の一部が、村議会議員に決定を委ねる代議制ではなくなっている。

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