800人の限界集落が「デジタル村民」集め目指す世界 NFTを村民の証しに、村のガバナンスにも参加

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さらには、クリプトエコノミーのなかに新たな支配者が生まれる可能性があることも、指摘しておかねばなりません。

そもそもクリプトエコノミーへの人口移動は、中央集権的なフィアットエコノミーの仕組みからの脱却を意味していたのに、移った先で新たな中央集権的な存在が現れるかもしれない。結果として「古い支配者」から「新しい支配者」に移っただけ、ということになる可能性があるわけです。

そうなってしまうか、あるいはweb3の醍醐味である分散化(非中央集権化)によってガバナンスや金融の民主化が加速し、ウェブの姿として本来、描かれてきたような理想が現実のものとなるかは、まだわかりません。

日本人に必要な意識改革

ただ1つ言えるのは、どちらの未来に向かうにせよ、物事はより多くの人が望む方向へと動くということです。よい目的のために、分散型(非中央集権型)というweb3の特徴を生かそうとする人が多くなれば、そういう社会がつくられていく可能性も高くなります。

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そうなると、「はたしてテクノロジーは私に何をしてくれるのか」という受け身の姿勢ではなく、「テクノロジーを使ってどんなことをしようか」と、積極的にコミットしていく姿勢が重要になってきます。

しかし、これは多くの日本人が苦手とするところかもしれません。したがって、まず日本人にいちばん必要なのは意識改革ということになりますが、それもテクノロジーに関するリテラシーを高めることにつながります。

web3のテクノロジーの何たるかを学び、実際に使ってみるなかで、良い文化を育んでいく。どのみちクリプトエコノミーの拡大はすべての人にとって避けられないことです。それを社会にとって好ましい方向へと持っていくには、社会にとって好ましい目的を持つ人たちが早いうちに使いこなしてしまうのがいちばんでしょう。

好ましい方向に意識を持っていく。先行する人々には、こうした文化を根付かせる責任のようなものがあると僕は思います。

伊藤 穰一 デジタルガレージ 取締役 共同創業者 チーフアーキテクト・千葉工業大学 変革センター長

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いとう じょういち / Joichi Ito

デジタルアーキテクト、ベンチャーキャピタリスト、起業家、作家、学者として主に社会とテクノロジーの変革に取り組む。アメリカマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの所長を務め、2015年のデジタル通貨イニシアチブ(DCI)の設立を主導。また、非営利団体クリエイティブ・コモンズの取締役会長兼最高経営責任者も務めた。「Earthshot 世界を変えるテクノロジー」の番組共同MCを務め、ポッドキャスト「JOI ITO 変革への道」では定期的にNFTに関する話題を取り上げているほか、Web3コミュニティーの試験的な開発に取り組んでいる。

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