ジャニーズとネット「二宮和也」が拓いた新境地 「ジャにのちゃんねる」がここまで成功できた訳

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ただもう一方で、ジャニーズならではの要素もきっちりある。そこも強みだ。

ジャニーズライブの裏側に潜入する企画などはもちろんのこと、ジャニーズタレントのグッズや写真が売られているジャニーズショップを4人が実際に訪れて買い物をしたり、4人の人間関係相関図やジャニーズの各タレントのタイプ分けについての表をつくったりといった企画もある。どれも、ジャニーズファンにとっては興味津々だろう。

ジャニーズがYouTubeに進出したのは2018年

2018年、ジャニーズが初の公式YouTubeチャンネルとして「ジャニーズJr.チャンネル」を開設した際には、それまでネット進出に消極的に見えたジャニーズ事務所の大きな方針転換として話題になった。それ以降、デビュー組も加わり、ジャニーズのYouTubeチャンネル開設は、いまや当たり前のことになっている。ほんの数年前と比べても、隔世の感がある。

ただ、これまでは、個別のグループ単位でのチャンネルになっていることが多かった。それに対し、「ジャにのちゃんねる」の場合、メンバーは、先述したようにグループの垣根を越えて集まっているところが目を引く。そうしたケースはゲーム動画に特化した「Johnny's Gaming Room」などないわけではないが、やはり新鮮で人気の一因だろう。

そこには、時代の移り変わりとともに、個々のグループだけでなく、「ジャニーズ」という存在そのもの、グループの枠を超えた“集合体としてのジャニーズ”への関心が高まっているという背景があるだろう。テレビなどでも、違うグループの誰と誰が同期で、誰と誰がプライベートで仲が良いという話がよく出るようになった。

ジャニーズの歴史をさかのぼれば、そうした“集合体としてのジャニーズ”への関心が広まった決定的なきっかけは、1990年代後半に巻き起こった「ジャニーズJr.黄金期」と呼ばれる爆発的なブームだったように思う。

そして、滝沢秀明らとともにそのブームを担っていたのが、Jr.時代の嵐のメンバーたちだった。二宮和也が発起人となって始まった「ジャにのちゃんねる」は、今度はネット時代のなかで、「ジャニーズ」という存在をより身近に感じさせる入口になっている。

ジャニーズは、これまで舞台(ライブ)とテレビの両軸で活動してきた。そして時代の変化に伴い、近年そこにインターネットという第3の軸を加えようとしている。そしてここ何年か、さまざまな試みがなされてきた。

そうしたなか、ここまで述べてきたように、「ジャにのちゃんねる」は、ジャニーズがYouTubeというメディアに見事に適応した画期的なケースと言えるだろう。少なくともジャニーズとインターネットの関係は、「ジャにのちゃんねる」の登場によって確実にステップアップした。

もしかすると将来、ジャニーズとインターネットの歴史は、「ジャにのちゃんねる以前/以後」で語られるようになるのかもしれない。

太田 省一 社会学者、文筆家

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おおた しょういち / Shoichi Ota

東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビと戦後日本社会の関係が研究および著述のメインテーマ。現在は社会学およびメディア論の視点からテレビ番組の歴史、お笑い、アイドル、音楽番組、ドラマなどについて執筆活動を続ける。

著書に『刑事ドラマ名作講義』(星海社新書)、『「笑っていいとも!」とその時代』(集英社新書)、『攻めてるテレ東、愛されるテレ東』(東京大学出版会)、『水谷豊論』『平成テレビジョン・スタディーズ』(いずれも青土社)、『テレビ社会ニッポン』(せりか書房)、『中居正広という生き方』『木村拓哉という生き方』(いずれも青弓社)、『紅白歌合戦と日本人』(筑摩書房)など。

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