激痛!コロナ禍で「帯状疱疹が急増」3つの理由 「水疱瘡との知られざる関係」と唯一の対抗手段

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2種類の帯状疱疹ワクチン(図版:筆者作成)

ただし、効果は8年程度しか持たない。弱めたウイルスを使った生ワクチンなので、免疫抑制剤や抗リウマチ剤、抗がん剤などで治療中の人は使用できない。

シングリックスは、生ワクチンに比べ費用は約5倍だが、効果が非常に高く、長持ちし、対象者の制限も少ない。水痘ウイルスの表面タンパクの一部を、免疫反応を強める薬剤(アジュバント)と組み合わせたワクチンだ。

50歳以上の男女1万5000人以上(日本人500人以上)が参加した臨床試験では、97.2%の発症予防効果が示された(GSK)。70歳以上の約1万4000人(日本人500人以上)を対象とした臨床試験でも、89.9%の予防効果が得られた。

帯疱疹後神経痛も、接種後4年間の減少率は85.5~100%に達した。接種から9年たっても免疫が十分に維持できているのが確認されている。

生ワクチンと不活化ワクチン、どちらをどう選ぶ?

では、どちらを選ぶか。あくまで個人の選択だが、費用と有効性、効果の持続期間を考慮して決めていただくのがよいと思う。

生ワクチンは、自己負担額は8000~9000円だが、1回接種で済む。

65歳以上の高齢者に3000~5000円程度の助成を行っている市町村もあり、人によっては実質3000~4000円で接種を受けられる。ただし助成は1回のみで、8年後に再び接種が必要になった際は助成なし、という自治体がほとんどだ。

あとは、「リスク半減」という予防効果をどう評価するかだろう。

シングリックスは、1回2~2万8000円程度×2回接種で、自己負担は計4~5万円となかなかの高額になる(3000~2万円程度の助成がある自治体も)。だが、圧倒的な有効性と長期効果を考えれば、むしろ堅実な選択とも言えそうだ。

いずれにしても、予防接種を受けない手はない。

withコロナは既定路線なので、新型コロナ感染やストレスをきっかけに帯状疱疹を発症する人は、これからも出てくるだろう。帯状疱疹の引き金になりうるからとコロナワクチンの接種を受けないのも、明らかに本末転倒だ。

ぜひ自治体の助成状況を確認したうえで、後悔する前にアクションを起こすことをおすすめしたい。

久住 英二 内科医・血液専門医

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くすみ えいじ / Eiji Kusumi

1999年新潟大学医学部卒業。内科医、とくに血液内科と旅行医学が専門。虎の門病院で初期研修ののち、白血病など血液のがんを治療する専門医を取得。血液の病気をはじめ、感染症やワクチン、海外での病気にも詳しい。

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