世界からの報告を網羅的に調べた論文では、帯状疱疹は新型コロナ感染から1〜2週間以内に最も多く発症している(Dermatology and Therapy)。
原因と見られるのが、「細胞性免疫」を担うリンパ球(T細胞)の機能障害や減少等だ。
細胞性免疫では、T細胞などの免疫細胞が、病原体に感染した細胞を直接攻撃し排除する。抗体という武器を駆使する「液性免疫」と、いわば“車の両輪”の関係にある免疫システムだ。
コロナ感染によってその働きがダメージを受けると、体内にいる帯状疱疹の原因ウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)の活性化を許してしまう。
日本感染症学会も、新型コロナ患者でリンパ球減少が観察されることがあるとしている。
「ワクチン」や「ストレス」でも発症
意外なのは、②新型コロナワクチンの影響だろう。当然、新型コロナワクチンそのものが帯状疱疹を発生させるわけではない。
国立感染症研究所によれば、新型コロナワクチンの接種後にもリンパ球の減少が見られることがある。新型コロナワクチンは、ウイルス自体を体内に入れるわけではないが、疑似的な感染を起こし、免疫反応を起こさせるものだ。一時的にせよコロナ感染と同じ影響が出ても不思議はない。
新型コロナワクチン接種後の帯状疱疹発生状況を調べた研究では、欧州では2021年7月時点で、ファイザー製ワクチン接種後に4103件(全有害事象※の1.3%)、モデルナ後に590件(同0.7%)、帯状疱疹の報告があったという。
アメリカでも同時期までに、ファイザー接種後に2512件 (全有害事象の1.3%) 、モデルナ後に1763件 (0.9%) の帯状疱疹が報告されている。
※有害事象…ワクチン接種後に起きたすべての体調不良。ワクチンと因果関係のないものも含まれる。
もっと軽視できないのが、③心理的ストレスかもしれない。
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