国会議員報酬「年収5183万円の一般人と同等」の訳 議員定数、報酬削減がどうにも困難な決定的理由

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議員会館の賃料は無料、議員宿舎には格安で居住することができます。2014年に賃料引き上げを行いましたが、周辺相場の2割程度で借りることができます。24時間体制の警備がほどこされセキュリティーは万全です。部屋から緊急通報のボタンを押せば秒速でスタッフが駆けつけます。

最近では、国会議員ではなく地方議会から声があがっているケースがみられます。大阪市会は「文書通信交通滞在費及び立法事務費に関する制度見直しを求める意見書」を衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣に提出しています。地方の声が大きくなれば中央を動かすことができるかもしれません。

ノブレス・オブリージュはどこへ

高い地位にある者が負うべき道義的、倫理的責任を果たそうとする「ノブレス・オブリージュ (noblesse oblige)」という考え方があります。欧米社会における基本的な道徳感であり、とくに政治家には必要とされている精神です。

国会議員の仕事は、第1に国会で政策を議論し、必要な法律を策定することです。選挙区のお祭りに顔を出したり、運動会に参加することは公務ではありません。

今国会の冒頭で、各党は「使途公開」や「国庫返納」の法改正を口にしていました。ところが成立したのは当選した月の支給額を「日割り計算」にする改正だけです。使途公表や国庫返納はなんら盛り込まれていません。さらに、「文書通信交通滞在費」から「調査研究広報滞在費」に費目が変更されています。

名称変更によって、従来では目的外とされた「調査研究、広報、宿泊代」にも使えるようになりました。「実態調査、啓蒙活動、これらの目的に関わる一切の費用」として使えるようになったわけです。名称を変えて問題のすり替えはいかがなものでしょう。このまま参議院選挙に突入してしまうのでしょうか。国民1人ひとりが注視しなければいけません。

尾藤 克之 コラムニスト、作家、著述家

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びとう かつゆき / Katsuyuki Bito

東京都出身。議員秘書、大手コンサルティングファームで、経営・事業開発支援、組織人事問題に関する業務に従事、IT系上場企業などの役員を経て現職。現在は障害者支援団体のアスカ王国(橋本久美子会長/橋本龍太郎元首相夫人)を運営しライフワークとしている。NHK、民放のTV出演、協力多数。コラムニストとしても、「JBpress」朝日新聞「telling,」「オトナンサー」「アゴラ」「J-CASTニュース」で執筆中。『あなたの文章が劇的に変わる5つの方法』(三笠書房)、『即効! 成果が上がる 文章の技術』(明日香出版社)など著書多数。埼玉大学大学院博士課程前期修了。経営学修士、経済学修士。

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