東洋経済オンラインでは、長期的な視点で企業の栄枯盛衰を検討するため、昨年に引き続き、今年も『この10年で「年収がグンと伸びた」会社ランキング』を発表した。これにあわせて、年収も従業員数も減少させた会社のランキングを紹介する。
積極的に従業員数を増加させたため、平均年齢が下がった結果として平均年収が減少して見えることがあるため、年収だけではなく従業員数の減少という条件も算定の基準に加えた。ランキングは年収を減らした金額が多い企業から順に順位づけを行っている。対象は220社におよんだ。
データは全上場会社の有価証券報告書(2010年12月~2011年11月期および2020年12月~2021年11月期)に記載されているデータを基に作成。
いずれの時点でも上場していることを条件としたほか、10年間に持ち株会社制に移行すると従業員数や年収に大きな違いが出るため、制度変更がある企業などは集計の対象外とした。
グループ企業については、全体で連結ベースの年収を算出するのがベストだが、基データとして使用している有価証券報告書のデータが単体会社のものであるため、単体の年収数字となっている。
10年前と比べて100万円以上の減収となり、かつ従業員数も減らしている会社は合わせて8社あった。しかし、新型コロナウイルスの影響が深刻になるまでの間は、景気が上向きだったこともあり、減少傾向の会社は少なかった。
1位は東洋エンジニアリング、2位は三陽商会
平均年収、従業員数ともに減少させた企業のうち、平均年収の減少額が最も大きかったのは、エンジニアリング大手の東洋エンジニアリングだった。10年前比で平均年収が190万円の減少、従業員数は101人減少した。
現在、東洋エンジニアリングはインテグラルが運営するファンドから出資を受け、経営再建の途上にある。この10年間では、売り上げ拡大を進める中で海外案件を積極獲得したものの、採算が悪化し、赤字決算が相次いだ。特に、アメリカのエチレン製造プラントの案件では巨額の損失を出してしまった。足元では業績が回復傾向にある。
2位は、総合アパレル大手の三陽商会で平均年収は188万円の減少となった。人気だったバーバリー社とのライセンス契約が2015年で打ち切られたことの打撃が大きかった。さらに、新型コロナによる需要低迷という打撃も受けている。
上位の従業員数が多い会社に着目すると、東日本大震災による原発事故後に原子力発電所の再稼働が難しくなっている電力会社や、低金利に苦しむ地銀などがランクインした。