アメリカが「日韓関係改善」を強く迫れない背景 バイデン大統領のアジア訪問で進展はあるか
日本の政府高官は韓国政府に対し、2015年の両国間合意を復活させることも望んでいる。その合意とは、日本側の資金により基金を創設し、第二次世界大戦中、旧日本軍によって性的奴隷状態に置かれた韓国女性の生存者に補償金を支払うというものだ。
以前の文在寅・前大統領が率いる革新系政権は事実上、この合意を破棄してしまった。結果として、両国による報復措置の連鎖が生じた。この措置には、日本側による韓国向け半導体素材の輸出規制強化が含まれる。
国内問題で大変な尹大統領
尹大統領率いる新政権はすでに、2015年の日韓合意がなお有効であるとの立場を表明している。そして現在、日本企業の資産の差し押さえを阻止する努力が行われていることは明らかだ。ただ、尹大統領は、韓国国民の声を考慮し、日本政府側からの明確な意思表示がないままで、こうした問題に深入りする姿勢は示していない。
同大統領は早くも、野党が多数を占める国会から提起されている重要課題に直面しており、世論調査における大統領の支持率は50%を切っている。この数字は新大統領としては異例の低さであり、6月1日に行われる地方選では大きな試練を迎えることになる。
アジア問題の専門家で、安倍元首相の伝記の著者でもあるトバイアス・ハリス氏は、尹大統領が、岸田首相と比べて政治的に「自由が利かない」状態にあるとみており、次のように話す。
「もし岸田首相が政治家としての勇気を持っているのであれば、同氏側からの意思表示はより踏み込んだものとなり、政治的にもより実行可能なものとなるだろう」
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